ドローン点検で資格は本当に不要?屋根点検から外壁調査までおすすめの資格や講習をまるっと解説!

公開:2024.08.30  更新日:2024.09.04

ドローン建物点検

ドローン点検で使用する機材

Contents

近年、建物の点検にドローンを活用するケースが増えてきました。

しかし、ドローンを使った点検を始めようと思っても「どんなスキルがあればいいんだろう?」と悩んで、始め方が分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、これからドローンで屋根点検や外壁調査を行っていきたい方に向けて、ドローンで点検する上で取得をおすすめする講習や資格を紹介します!。

ドローン点検に必須の資格はない

ドローン点検中のパイロット

ドローンで点検を行う場合は対象が屋根や外壁に関わらず、必ず取得しなければいけない資格はありません。

ドローンの操縦に必須な資格や免許がないのと同様に、ドローンを使った点検業務においても、極論として何も資格を持っていなくても点検は可能です。ただし、資格取得に必要な講習を通して、知見や経験を深められるのはドローンの点検に関する資格も同じだと考えましょう。

基本的な点検に関する講習はもちろん、今まで、人力で屋根などの点検を行ってきた部分をどのようにドローンに置き換えるか?ドローンに置き換えた上で、データはどのように処理するのか?などの実際にドローンを使用して点検を行う上で重要なポイントを学習できるのは、資格を取得する最大のメリットです。

そのため、工務店等で今まで人力だった点検をドローン点検に切り替える場合や、これから新しくドローン点検業務を始める方には、各点検業務に特化した民間資格の取得がおすすめです。

具体的には、各ドローンスクールで提供されている屋根点検や赤外線点検に関する講習を受講するのが良いでしょう。これらの講習では、ドローンを使った点検の基本的な知識や技術を学ぶことができます。

ドローン点検における国家資格「無人航空機操縦士」の必要性

ドローン点検で調査する橋梁

ドローンの操縦に関する国家資格として、「無人航空機操縦士」があります。

この資格は、基本的には取得していると一部の飛行許可承認申請を省略できるメリットがあるものの、国家資格が無くてもドローンを使った点検業務は可能です。ただし、補助者や看板無しで人口密度が低い地域でドローンを飛行させる場合は、国家資格「無人航空機操縦士」の保有が求められるので注意が必要しましょう。

ドローン屋根点検でおすすめの資格は「ドローン屋根点検オペレーター」

ドローン点検で使用する機体

ドローンを使用した屋根点検は、安全性の確保、効率化とコスト削減、高精度なデータ収集などの理由から、その導入が強く推奨されています。

高所作業のリスクを大幅に減少させて作業員の安全を確保できるだけでなく、足場やリフトの設置が不要です。コストも削減できるため従来の屋根電球のやり方より、圧倒的に効率が上がります。

また高解像度のカメラやサーマルイメージング技術を搭載したドローンを使用すれば、屋根の損傷や異常を迅速かつ正確に検出可能です。先述したようにドローンで屋根点検をする際に資格は不要です。しかし、より安全かつ最大限に効果を発揮するには国土交通省認定の民間資格「ドローン屋根点検オペレーター」の取得がおすすめです。

ドローン屋根点検オペレーターの講習では、ドローンを使用した屋根点検の技術と知識を体系的に学べるだけではなく、屋根点検業務の効率化と安全性向上を目指すことができます。

ドローン屋根点検オペレーターとはどのような資格か

ドローン屋根点検オペレーターはDSC産業用ドローンスクールなどの認定スクールで、1日間の講習と試験を受けることで取得可能です。

講習では屋根の形状や屋根材の種類、損傷の種類についての知識のほか、ドローンを使用した屋根点検の具体的な流れや実践的なポイント、屋根調査報告書の作成方法などを学びます。

ドローン屋根点検オペレーターの資格としての目的は、ドローンを使用した屋根点検の技術と知識を体系的に学び、屋根点検業務の効率化と安全性向上を目指すことです。そのため、効率重視で人力ではなくドローンでの点検を選ぶ方にとっては、特に満足度が高い資格とも言えます。

ドローン屋根点検オペレーターの取得をオススメする人

ドローン屋根点検オペレーターの資格取得をおすすめする方は、以下のような方々です。

  • ドローン初心者
    • ドローンの操作方法や点検手法を一から学びたい人。
    • 安全にドローンを飛行させるための知識を身につけたい人。
  • 人力での屋根点検からドローン点検に切り替えを検討している方
    • 屋根点検業務の効率化を図りたい建設業界の従事者。
    • 高所作業のリスクを減らし、安全に業務を行いたい人。

ドローン屋根点検オペレーターの講習で学べること

ドローン屋根点検オペレーターの講習では、座学講習と実技講習それぞれの講習で以下のような点について学習可能です。

  • 座学講習
    • 屋根点検の概要
    • 屋根の形状や屋根材の種類
    • 損傷の種類
    • ドローン撮影手法
    • 報告書のひな形説明
    • オンライン動画で繰り返し復習可能
  • 実技講習
    • ドローンカメラの使用方法や設定の解説
    • 自動航行アプリ「DroneDeploy」の使用方法解説
    • パラメーター取得の解説
    • 講師によるデモ飛行
    • ドローン飛行練習
    • 実際の建物を用いた本番さながらの実技講習
  • 実務に直結するスキル
    • ドローンを使用した屋根点検の具体的な手順。
    • 高精度な点検結果を提供するための技術。

ドローン屋根点検オペレーターを取得するメリットやサポート体制

実際にドローン屋根点検オペレーターの講習を行う講師は、屋根点検をはじめとしたさまざまなドローン点検業務をこなしてきたベテランの方々です。

例えば「屋根点検で外壁に近づきすぎると機体が壁に吸い寄せられることがある」のような実践的な知見も教われるだけでなく、以下のような取得メリットがあります。

  • 屋根点検業務に必要な操縦テクニックを学べる
    • 狭い場所や障害物が多い場所でも、安全に操縦できる
    • 風速や天候などの環境変化に適応し、安定した飛行を維持できる
    • 撮影対象に合わせて、適切な高度や角度で飛行できる
  • 独学ではカバーしきれない屋根点検に関する知識を学べる
    • 雨漏り、破損、色褪せ、コケ・カビの発生など、様々な劣化現象を識別できる
    • 瓦屋根、金属屋根、陸屋根など、主要な屋根構造の種類と特徴を理解する
    • 屋根材の種類や施工方法に関する知識を持つ
  • 高品質なデータ収集
    • 高解像度の写真やサーマルデータを使用して詳細な点検レポートを作成
    • 顧客満足度の向上とリピート率の増加
    • ドローン撮影画像を用いた詳細な報告書の作成
    • 劣化箇所を分かりやすく記載する方法
    • 必要な修繕内容を具体的に提案する方法

またドローン屋根点検オペレーターは資格取得後のサポート体制も充実しています。オンライン動画での復習、定期的なフォローアップ講習、資格取得者同士の情報交換やネットワーキングができるコミュニティへの参加などが可能です。

ドローンで赤外線点検を行う上で取得をおすすめする民間資格

ドローン点検のために準備するパイロット

もちろんドローンで赤外線点検を行う上でも、特に資格が無くても問題なく実施できます。

しかし、赤外線サーモグラフィーを使用して建物の損傷状況や劣化状況具合を診断するには、赤外線全般に関する専門的な知識と技術が必要です。

そのため、これからドローン赤外線点検を導入したいと考える方は、ドローンスクールで赤外線点検について学んだり、以下でご紹介する赤外線点検に関する資格を取得したりするのが理想的です。

ドローンによる赤外線診断に関する資格としては、以下の2つが挙げられます。

  • 赤外線建物診断技能師:建物の外壁の浮き・剥離、雨漏りにおける外壁・内壁内の雨水滞留状況の診断を目的とする。戸建住宅やマンションなどの建物が主な対象です。
  • JAIRA赤外線サーモグラファー: 土木・建築構造物に特化した赤外線法による劣化診断技術者の養成を目的とする。コンクリート構造物の劣化診断が主な対象です。

これらの資格は民間資格ではあるものの、赤外線を使用して建物の状況を判断する上で、必要な技能を効率的に取得できます。

また、これらの資格は赤外線外壁調査の入札案件で求められることが多い資格です。今後事業としてドローン赤外線点検を行っていくのなら取得しておいて損はありません。

ドローン赤外線点検におすすめな資格①赤外線建物診断技能師

ドローン点検中の パイロット

赤外線建物診断技能師は、建築物全般の劣化診断に対応できる民間資格です。

この資格ではコンクリート構造物だけでなく、木造建築や鉄骨造などの外壁、屋根、雨樋、太陽光パネルなど、幅広い建材を対象とした点検を扱います。

赤外線建物診断技能師取得者はドローンによる赤外線サーモグラフィーと目視調査だけでなく、実際に壁をハンマーで叩き音の違いで状態を判別する打診調査などを組み合わせ、総合的に診断します。

雨漏りや断熱材の劣化はもちろん、外壁材の浮きや剥がれ、太陽光パネルの不具合などさまざまな劣化現象を発見可能です。

赤外線建物診断技能師取得者に適した建物の種類と評価内容

赤外線建物診断技能師は住宅やオフィスビルなどの総合的な建物診断、外壁や屋根の劣化、断熱性能の評価に適した資格です。

建物の外壁の浮き・剥離、雨漏りの診断に特化した専門家としての能力を証明し、建築の基礎知識や法的問題まで含む幅広い知識を習得しています。

12条点検を始めとする特殊建築物の定期報告制度における外壁診断など、法的要件に対応できる専門知識を有しており、建物の立地、形状、外壁素材、天候、日射など様々な要素を考慮した総合的な判断ができます。

12条点検のような法令点検等を扱いたい場合は、赤外線建物診断技能師かJAIRA赤外線サーモグラファーを取得しておきましょう。

赤外線建物診断技能師を取得した後に扱えるドローン赤外線点検の例

具体的な活用例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 住宅の屋根、外壁、雨樋の点検
  • 太陽光パネルの設置状況や劣化状況の点検
  • 文化財や歴史的建造物の劣化診断
  • 大規模な土木構造物や特殊建築物の定期点検
  • コンクリート構造物の劣化診断
  • ビル、マンション、工場、倉庫などの外壁、屋根、屋上などの定期点検
  • 災害発生後の建物の被害状況調査
  • 保険調査

取得方法とオススメする人の特徴

この資格は、以下のような人にオススメです。

  • 土木・建築分野での専門性を高めたい人
  • 大規模構造物の点検や診断に興味がある人
  • 標準化された手法で高品質な診断を行いたい人

赤外線建物診断技能師は一般財団法人 職業技能振興会が実施する認定試験に合格すれば取得可能であり、受験資格は特にありません。

資格を取得するだけではなく、ドローンで行う赤外線点検に特化した講習・試験を受けながら赤外線建物診断技能師を取得出来るスクールもあります。

例えば、Dアカデミーの講習プログラムでは、赤外線サーモグラフィーの基礎から応用までを学び、実技試験を通じて資格を取得することができます。

ドローン赤外線点検におすすめな資格②JAIRA赤外線サーモグラファー

ドローン点検に使用する機体・機器一式

JAIRA赤外線サーモグラファーは日本赤外線劣化診断技術普及協会(JAIRA)が提供している、土木・建築構造物の劣化診断に特化した民間資格です。

JAIRA赤外線サーモグラファーは特にコンクリート構造物の診断に特化した資格であり、橋梁、トンネル、ダム、風力発電所のタービン基礎など、広範囲かつ詳細な調査が可能です。

資格取得者はドローンに搭載した赤外線サーモグラフィーを用いて対象のひび割れや空洞、剥離、鉄筋腐食などの劣化状況を効率的に発見できます。特に目視で確認が難しい高所や、危険箇所にあるコンクリート構造物の点検に有効です。

赤外線建物診断技能師と同様に民間資格なので取得義務はありませんが、非常に重宝される資格です。

資格取得のメリット

JAIRA赤外線サーモグラファーの資格取得者は特にコンクリート構造物の劣化状況に強く、問題点を詳細に把握し適切な修繕計画を立案可能です。建物の安全性と長寿命化に大きく貢献できる技能を習得できるのは、大きなメリットでしょう。

またJAIRAは今までに660名以上の資格取得者を輩出しており、全国に技術者を配置しているため、技術者間の情報交換やネットワーキングを構築できるのもポイントです。

JAIRAてまさ撮影のトレーサビリティや手順書による現場踏査、撮影画角割、機材仕様などを厳格に規定しているため、高品質な点検サービスを提供できる状態を確保できるのもメリットといえます。

JAIRA赤外線サーモグラファー取得者が得意な点検分野

JAIRA赤外線サーモグラファーの得意な点検分野は、コンクリート構造物の劣化診断です。

ひび割れや空洞、剥離、鉄筋腐食などの劣化状況を広範囲かつ詳細に把握することが可能で、ドローンを使えば高所や危険箇所の劣化状況を調べることもできます。

赤外線サーモグラフィーで取得した画像データは、劣化の進行状況を時系列で比較・分析することも可能です。

具体的な活用例としては、以下のようなものがあります。

  • 橋梁、トンネル、ダムなどのインフラ点検
  • 高層ビルやマンションの外壁、屋根の点検
  • 工場や倉庫のコンクリート躯体の点検
  • 風力発電所のタービン基礎の点検
  • 高層建築物や危険箇所にあるコンクリート構造物の緊急調査
  • コンクリート構造物の劣化状況に基づいた修繕計画の作成

赤外線点検におけるJAIRA赤外線サーモグラファーの強み

JAIRA赤外線サーモグラファーの強みは、コンクリート構造物の劣化診断に特化している点です。ステップ2では高度な知識と技能が求められるため、コンクリート構造物の劣化状況をより詳細に診断できます。

JAIRA赤外線サーモグラファーの講習ではJAIRA法(特許工法)に基づく高品質で信頼性の高い調査手法を習得でき、橋梁やトンネル、ダム、風力発電所など、大規模なコンクリート構造物の点検や定期点検、大規模修繕前の調査にも役立ちます。

JAIRA赤外線サーモグラファーにおける2つの資格種類

JAIRA赤外線サーモグラファーにはステップ1とステップ2の以下のレベルがあります。

  • ステップ1資格
    • 役割:ステップ2資格者の指導のもとで熱画像を撮影する技術者。
    • 権限:現地での熱画像撮影が可能。
    • 特徴:現地での熱画像撮影が可能で、基礎的な知識と技術を習得するための初歩的な資格。
  • ステップ2資格
    • 役割:JAIRA赤外線法(特許)のすべての運用が許諾される技術者。
    • 権限:独立して赤外線法を実施し、劣化診断を行うことが可能。
    • 特徴:高度な知識と技術を持ち、指導者としても認知される資格。

ステップ2資格者は、ドローンによる撮影画像と赤外線サーモグラフィー画像を解析し、劣化の進行度や原因を分析します。

各ドローン点検に関する資格を取得し、より専門性の高い点検業務を実施しよう

ドローン点検、橋梁点検、屋根点検などをする機体

ドローンで行う屋根点検や赤外線点検は、確かに、特に資格はなくても業務として実施可能です。

しかし、一般的なドローン操縦でプロンスクールを利用して、航空法やその他のルールなどを効率的に取得するように、点検業務においても、資格取得を目指した講習や試験の通じて、体系的に点検業務について学ぶことができます。

ドローンに限ったことではありませんが、特定の専門知識が必要な業務を行う際はベテランから経験や知見を学べるスクールや資格取得を利用し、効率的かつ効果的に技能獲得を目指しましょう。

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この記事を書いた人

DJI CAMP スペシャリスト民間資格取得/webライター

2022年にDJI CAMP スペシャリスト等の民間資格取得し、
インストラクターとして登録講習機関の国家試験学科対策テキストを執筆。
現在はメンターやライターとして活動中です。
ドローンは難しく聞こえがちな言葉が多いため、
初心者でもわかりやすい記事を執筆するドローンライターを目指しています。
https://x.com/seri_nonnon

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