そもそもドローン測量とは?写真測量からマルチスペクトル測量までドローン測量の特徴や用途を解説!

公開:2024.10.10 

ドローン測量

ドローン測量の風景

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ドローンの活躍の場が広がる中、測量の分野でもドローンが大きな注目を集めています。

従来の測量手法と比べて安全性や効率性、コスト削減など多くのメリットを持つドローン測量は、非常に幅広い分野で活用されています。

しかしドローン測量と一口に言っても、実はその測量方法は多岐に渡るため、各測量方法の特徴を掴みかねている方も多いのが現状です。

本記事では、そんな方がドローン測量の基本を抑えられるように写真測量からマルチスペクトル測量まで、各測量方法の特徴や用途を詳しく解説します。

そもそもドローン測量とは何なのか?

河辺の近くでドローン測量をするシーン

ドローン測量とは無人航空機(ドローン)に各種センサーやカメラを搭載し、上空から測量対象の数値データや画像データを取得する測量手法です。

従来の人力で行う測量よりも効率的かつ精密にデータを取得できるのがドローン測量の特徴であり、以下のように同じドローン測量でもいくつか種類があります。

ドローンによる測量で実施できる主な測量方法

ドローンを使った測量では、機体に搭載するカメラの種類等によって複数の方法で測量可能です。

  • 写真測量:対象物の写真を複数枚撮影し、それらを処理することで3Dモデルを作成する測量方法。
  • レーザー測量:レーザースキャナーを使用して対象物までの距離を測定し、3D点群データを取得する測量方法。
  • 赤外線測量:赤外線カメラを使用して対象物の温度分布を可視化する測量方法。
  • マルチスペクトル測量:複数の波長帯のカメラを使用して対象物の分光特性を捉える測量方法。

写真測量やレーザー測量は高精度な3Dデータの取得が得意であり、建設現場やインフラ点検などで広く活用されています。 赤外線測量やマルチスペクトル測量は、通常のカメラでは捉えられない情報を取得可能なため、さまざまな現場で活用されます。

ドローン測量で取得出来るデータの種類

ドローンを用いた測量では、搭載するセンサーによって多様なデータを取得可能です。

  • 高解像度の画像データ:高解像度の静止画像データとしてオルソ画像の作成や3Dモデリングに活用され、地図作成や都市計画、インフラ管理などに役立ちます。
  • 3D点群データ:レーザースキャナーで取得された対象物の3次元座標の集合体データであり、地形や構造物の詳細な3Dモデルの作成に用いられます。
  • 赤外線画像:赤外線カメラで撮影された対象物の温度分布を可視化した画像データであり、建物の断熱性能の評価や、植生の健全性の把握等に活用されることが多いです。
  • マルチスペクトル画像:複数の波長帯のカメラで撮影された画像データであり、植生の種類や生育状況の把握、水質の評価など農業や環境改善で活用されています。

ドローン測量が普及している理由

ドローンで林業、農業、漁業関連の測量を実施する機体近年ドローン測量が急速に普及している背景には、法規制の整備や技術の進歩、作業の安全性向上、効率改善、高精度データの取得、コスト削減などがあります。人力での測量とドローン測量の取得データ速度が同等と認められたことにより、人力の測量からドローン測量に切り替える事業者も多いです。

以下では、なぜドローン測量が広く採用されるようになったのか、その主な理由について詳しく解説します。

法規制整備の柔軟化や技術の進展

国土交通省が「公共測量のUAVの使用に関する安全基準」を策定したことで、公共測量でのドローン活用が可能になりました。

また、各地方自治体でもドローン利用に関するガイドラインが整備され、適正な運用が促進されています。申請手続きの簡素化や許可取得の迅速化により、ドローン測量の実施が容易になった点も普及の一因です。

さらに、ドローンの性能向上と低価格化により、測量用ドローンの導入が容易になりました。自動飛行やデータ処理の技術が進歩し、操作性や利便性が向上したことも、普及を後押ししています。ドローン測量に関する教育や資格制度の整備が進み、専門家の育成が進んでいるのも普及要因のひとつです。

作業の安全性向上

ドローン測量の最大の利点は、安全性が飛躍的に向上することです。

従来の測量では人が直接現場に立ち入る必要があるため、危険な場所や困難な環境での作業が避けられませんでした。しかしドローン測量では作業者が直接現場に赴く必要がないため、リスクを大幅に軽減できます。

従来は崖や急斜面、高所での測量作業は転落や滑落の危険性が高く、作業者の安全が脅かされていました。ドローンであれば、こうした危険な場所でも安全に測量を行うことが可能です。また災害現場等の二次災害の恐れがある場所での調査も、ドローン測量により作業者を危険にさらすことなく実施できます。

さらにドローンは狭小空間や立ち入り困難な場所での測量にも適しているため、これまで測量が難しかった場所のデータも安全に取得できるようになりました。

作業効率の大幅な改善

ドローン測量は、作業効率を大幅に改善できる点でも非常に優れています。

従来の測量では広大な面積を測量する際、多くの人員と時間を要していました。ドローン測量を利用する場合は短時間で広範囲の測量が可能となり、従来の方法より大幅に作業時間を短縮できます。

例えば、数百haに及ぶ広大な土地の測量も、ドローンを使えば数日で対応可能です。また人力では到達が難しい場所や、アクセスが困難な地域での測量もドローンであれば容易に行えます。さらにドローンによる測量は自動化が進んでおり、飛行ルートの設定や撮影、データ処理などの作業を自動で実施することも可能です。

このような点からドローン測量は作業に必要な人的労力を大幅に削減でき、作業の効率化と省力化を実現できる方法として普及率が年々上昇しています。

高精度なデータの取得

高性能なカメラやレーザースキャナーをドローンに搭載すれば、非常に高精度かつ複雑なデータも取得できます。

従来の測量法よりも詳細かつ正確な地形データや、3Dモデルを作成しやすいのもドローン測量を利用するメリットです。特に、ドローン測量とRTK測量を組み合わせることにより、土木工事や建設プロジェクトで重要な役割を担う、測位精度が数cm単位の高精度データを取得できるようになりました。

例えば正確な地形データがあれば、設計や施工計画の精度を高めることに繋がり、手戻りや無駄を削減できます。その他にも、精細な3Dモデルがあれば完成イメージを事前に確認したり関係者間で共有したり出来るようになります。

土木工事や建設現場では、工事の進捗状況の把握・管理・共有などに使われることも多いです。

コストや労力の削減

国土交通省が公開している「測量業務積算基準」の資料に記載されている平均値に基づいて計算すると、同じ10haの測量でも人力の写真測量とドローンを含むUAV測量の金額は以下のように異なります。

  • 人力で10haの写真測量を行う際の総額≒ 1,941,000円
    • 人件費 ≒ 985,157円
    • 機材費 ≒ 955,843円
  • UAVで10haの測量を行う際の総額≒ 734,857円
    • 人件費 ≒ 438,857円
    • 機材費 ≒ 296,000円

資料に基づく仮定の計算ですが、UAV測量は約62%のコスト削減が可能と分かります。このように、ドローン測量はコスト・労力を削減したコストパフォーマンスに優れた測量を実施する手段としても活用されています。

 

ドローンによる写真測量(空中写真測量)とは?

スマート農業でドローン測量をする機体

ドローンによる写真測量(空中写真測量)は、ドローンに搭載された高解像度カメラを用いて、上空から対象物を複数の角度で撮影し、それらの写真を解析することで3Dモデルを作成する測量技術です。

従来の航空機や人力による測量と比べて、短時間で広範囲を効率的に測量できるため、さまざまな分野で活用されています。特に、立ち入りが困難な場所や危険な環境での測量に威力を発揮します。

以下では、従来の方法との違いがピンと来ない方に向けて、具体的にドローン写真測量が従来の方法と何が違うのかや、実際の利用が向いている現場や状況について解説します。

ドローンによる写真測量の特徴

ドローンによる写真測量は、高解像度カメラを使用し、複数の写真から3Dモデルを作成する点が特徴です。従来の測量方法と比べ、以下のような違いがあります。

  • 広範囲を効率的に測量可能で、立ち入りが困難な場所でも測量可能
  • 高精細なデータを取得でき、詳細な3Dモデルも作成可能
  • 短時間で測量が完了し、コスト削減に直結

これらの特徴より、ドローンによる写真測量は以下のような測量内容に適しています。

  • 地形の把握
  • 3Dモデルの作成
  • 構造物の点検
  • 災害時の被害状況把握

ドローン写真測量では通常2000万画素以上の高解像度カメラを使うことが多く、通常のレンズに加えて広角レンズや魚眼レンズを併用すれば、より撮影環境や目的に合った撮影を手軽に実現可能です。

工事現場や建設現場でドローンによる写真測量が向いている状況

ドローンによる写真測量は、工事現場や建設現場において、以下のような状況で特に有効です。

  • 施行前の状況や工事の進捗状況等の管理・把握:工事着手前に現場の状況を詳細に把握するのに適しています。設計変更の必要性の有無や施工計画の立案に役立ちます。また、 定期的に上空から工事現場を撮影すれば工事の進捗状況を視覚的に確認可能です。
  • 出来高管理:工事の途中段階で完了した部分の出来高を計測し、請求額の算出に利用できるため広範囲を効率的に計測可能です。
  • 竣工測量:工事完了時の現場形状を面的に記録し、設計通りに仕上がっているかを確認する際に高解像度のオルソ画像や詳細な3Dモデルが活用出来ます。
  • 土量計算:写真測量で得られた3次元データを用いて、切土・盛土の土量計算を正確に計測可能です。
  • 山間部でドローンによる写真測量が向いている状況

    山間部では複雑な地形や広大な範囲を効率的に測量するための方法として、ドローン写真測量が利用されています。

    • 地形の3Dモデル作成:上空から重複度を持たせて撮影した写真を解析し、山間部の地形を詳細な3Dモデルとして再現可能です。
    • 斜面の状態把握:斜面の形状や植生の状態を上空から効率的に把握でき、山間部の防災や維持管理に活用します。
    • 広域の測量:山間部の広大な地域の測量に適した、1フライトでの広範囲測量が可能です。

    また、以下のような点でも山間部での写真測量に適しています。

    • 山間部の複雑な地形を詳細に把握するために高解像度の空中写真を撮影。
    • 取得した写真から、高精度な3Dモデルを作成することで、地形の起伏や特徴を立体的に捉えたい土木工事や防災対策、森林管理など、様々な用途で活用可能。

    河川部・海岸部でドローンによる写真測量が向いている状況

    広範囲の水域を含む河川部や海岸部では、以下のような状況でドローン写真測量が活用されています。

    • 河川の地形や河川構造物の状況を把握・維持管理
      • 河川の縦横断形状や河岸の状態を詳細に把握するための3Dモデルを作成
      • 堤防や護岸等の河川構造物を上空から撮影し、変状や損傷を視覚的に把握
    • 海岸線の変化等のモニタリング
      • 離岸堤、突堤、護岸等の設置状況や損傷状況を把握
      • 高潮や津波発生直後に被災地域を上空から撮影し、浸水範囲や浸水深を迅速に特定
    • 河川や海岸部の生態系調査
      • 干潟や藻場、サンゴ礁等の分布や面積を計測し、経年変化を追跡
      • 河川の蛇行や砂州の発達状況を定期的にモニタリングして変化を追跡

ドローンによるレーザー測量とは?

そローン測量で農業業界のDX化を推進

ドローンによるレーザー測量は、ドローンに搭載したレーザースキャナーを用いて、対象物までの距離を測定し、高密度な3D点群データを取得する測量方法です。暗所や密集した植生下でも測量可能であり、より高精度な3Dデータを取得できます。

ドローンレーザー測量はどんな特徴はあるのかや、ドローンレーザー測量が向いている現場などについて解説します。

ドローン測量の特徴や従来のレーザー測量との違い

ドローンレーザー測量は、レーザースキャナーを使用して対象物までの距離を測定し、3D点群データを取得することで、地形や構造物の詳細な形状を捉える測量方法です。従来のレーザー測量と比べ、以下のような違いがあります。

  • 暗所でも測量可能で、密集した植生下でも測量できる。
  • より高精度な3Dデータを取得できる。
  • 従来のレーザー測量は、地上の固定点からレーザースキャナーを使用するのに対し、ドローンレーザー測量は上空から高密度の3D点群データを取得できる。

ドローンレーザー測量は構造物の詳細な形状や変位の計測、3D点群データの取得を目的として活用されることが多く、構造物の変形や劣化の定量的な評価、補修・補強計画や生態調査など、さまざまな用途で活用されています。

ドローンレーザー測量の用途や利用メリット

ドローンレーザー測量のメリットは、高精度な3D点群データを取得できて、地形や構造物の詳細な形状を捉えられることです。また、使用する機材がドローン本体以外はLiDARセンサーや慣性計測装置(IMU)、GNSS受信機等の小規模で済むため、従来のレーザー測量より機材量が少なくて済むのも利点です。

一方デメリットは機材コストが高く、レーザー照射に関する安全性の確保が必要なことが挙げられます。

山間部でドローンレーザー測量が向いている状況

山間部の森林や山の斜面、山間部にあるインフラ施設などは立地環境次第では、ドローンでしか測量できない場所も多いです。人力よりもドローンによるレーザー測量が向いている山間部の現場は以下のようなものがあります。

  • 山間部の斜面に対する定期的なモニタリング:斜面の詳細データを定期的に取得し微細な変化を観測すれば、地すべりや土石流の兆候を早期に発見できます。
  • インフラ施設の点検・管理:送電線の位置や高さや砂防施設の堆砂状況などを定量的に評価すれば、劣化状況を高精度で把握して点検・修繕・報告に活用可能です。3D点群データから、施設の損傷箇所や変状の程度を把握することもできます。
  • 森林管理:樹冠の高さや密度、地形の起伏を高精度で計測すれば、森林資源量の推定や生育状況の評価に活用できます。

河川部でドローンレーザー測量が向いている状況

ドローンレーザー測量では水中の詳細データまで取得できるため、以下のような状況で活用されています。

  • 河川地形の把握:河床の詳細な地形データを取得し、写真測量の河岸の経時的な変化の視覚的データや河床の詳細な地形データと組み合わせれば、侵食や堆積の傾向や微細な変動を定量的に評価・把握可能です。
  • 河岸侵食や河床変動の監視:レーザー測量のデータから高精度な3Dモデルを作成すれば、河川の縦横断形状や河岸の状態を立体的に可視化できます。また、河岸の侵食状況や河床の変動を定量的に評価可能です。
  • 河川管理・洪水対策・河川工事の計画:取得した点群データで作成する3Dモデルには水面下の地形や河床の状態などの情報も含まれており、河川管理や洪水シミュレーション、河川工事の計画・設計などに活用可能です。

ドローンによる赤外線測量とは?

ドローンで赤外線測量をしている建設業界のドローン機体

ドローンによる赤外線測量はドローンに赤外線カメラを搭載し、上空から対象物の温度分布を可視化する測量方法です。

従来の方法よりも広範囲を短時間で効率的に測量できるドローン赤外線測量は、さまざまな利用メリットがあります。

ドローン赤外線測量の特徴や従来の方法との違い

ドローン赤外線測量の最大の特徴は、対象物の温度分布を高解像度で可視化できる点です。

赤外線カメラを使用することで、可視光では捉えられない情報を取得し、対象物の健全性や異常を視覚的に把握できます。従来の地上からの赤外線測量と比べ、以下のような利点があります。

  • 広範囲を短時間で測定できるため、作業効率が大幅に向上する。
  • 人の立ち入りが困難な場所や危険な場所での測量が可能になる。
  • 高所からの撮影により、対象物全体の温度分布を一度に捉えられる。

工事現場や建設現場でドローン赤外線測量が向いている状況

地表面の温度分布から地中の水みちや空洞を推定したり材料の硬化ムラや内部欠陥の兆候を検出したりできるドローン赤外線測量の特徴を活かしています。工事現場や建設現場では以下のような状況で活用されています。

  • 地盤安定性評価:地中の温度分布を測定して地下水脈や空洞の存在を特定することで、地滑りや陥没のリスクがある場所を事前に把握できます。
  • コンクリート養生過程モニタリング:コンクリートの温度分布を計測し、硬化過程の均一性を評価することで、強度不均一や亀裂発生のリスクを低減できます。
  • 屋根の防水性能評価:建物の屋根の温度分布を測定して断熱材の劣化や防水シートの損傷を検出することで、雨漏りのリスクを事前に把握し、適切な補修計画を立てられます。

都心部でドローン赤外線測量が向いている状況

ドローン赤外線測量は建物や道路、緑地などの表面温度分布を高解像度で測定できるため、都心部では以下のような目的で使用されています。

  • ヒートアイランド現象評価:都市表面温度の空間分布を高解像度で測定してヒートアイランド現象の詳細な実態を把握することで、効果的なクールスポットの配置計画や、熱環境改善のための都市設計ガイドラインの策定が可能になります。
  • 建物エネルギー効率評価:建物外壁の温度分布から断熱性能や熱損失を評価し、省エネ改修の優先順位付けや都市全体のエネルギー効率向上計画に利用できます。
  • 地下空間温度異常検出:地表面温度の異常から地下構造物や地下水脈の存在を推定して都市地下空間の熱環境を評価することで、地下街の空調設計や地中熱利用システムの計画立案に役立ちます。

農地でドローン赤外線測量が向いている状況

赤外線測量では作物のストレス状態や病害の兆候が分かる葉の表面温度や土壌水分の空間分布を推定可能なデータが取得できるため、農業では以下のような目的で利用されています。

  • 作物ストレス評価:作物の表面温度から水分ストレスや病害の程度を評価して早期のストレス検出により、適切な灌水や病害対策のタイミングを決定できます。
  • 土壌水分分布測定:地表面温度の日変化パターンから、土壌水分の空間分布を推定し、精密農業の可変灌水システムの制御に活用できます。
  • 霜害リスク評価:夜間の地表面温度分布から霜の発生しやすい低温域を特定し、果樹園などでの霜害対策の効率的な実施や防霜ファンの最適配置に活用できます。

ドローンによるマルチスペクトル測量とは?

ドローン測量で林業業界の効率化を図るシーン

ドローンによるマルチスペクトル測量は、可視光に加えて、近赤外線や短波長赤外線などの複数の波長帯の反射特性を測定する測量方法です。

今まで解説してきた測量方法の中でも、特にさまざまな産業分野で利用されやすい測量方法でもあります。

ドローンマルチスペクトル測量の特徴や従来の方法との違い

ドローンマルチスペクトル測量の最大の特徴は、複数の波長帯の反射特性を高い空間解像度で測定できる点にあります。対象物の分光特性を詳細に分析し、以下の情報を取得できます。

  • 植生の種類や活性度、病害の兆候
  • 土壌の水分量や養分状態、有機物含有量
  • 岩石や鉱物の種類や分布状況

従来のマルチスペクトル測量は、主に人工衛星や航空機に搭載されたセンサーを用いて行われてきましたが、ドローンを活用することで、より低コストで高頻度のモニタリングが可能になりました。また、低高度からも高解像度の画像を取得できるため、局所的な変化や詳細なパターンを捉えることができます。

都心部でドローンマルチスペクトル測量が向いている状況

都心部でのドローンマルチスペクトル測量では太陽光による熱のこもりや都市の土地被覆の種類などや空間解像度で識別できるため、都心部の環境モニタリングやヒートアイランド対策などに利用されています。

  • 都市緑地の健全性評価:緑地の分光反射特性から、植生の活性度や樹木の健康状態を判定し、効果的な緑地管理計画の立案に役立てられます。
  • 都市の土地被覆分類:建物、道路、緑地、水面などの土地被覆を高精度で分類し、都市環境の評価や都市計画の基礎データとして活用できます。
  • ヒートアイランド現象の解析:地表面の分光反射特性から、都市の熱環境に影響する要因(建材、緑地、水面など)を抽出し、効果的な熱環境改善策の立案に役立てられます。

農業でドローンマルチスペクトル測量が向いている状況

農業分野でのドローンマルチスペクトル測量は、精密農業を行う上での物の生育状態や病害の兆候、土壌の養分状態などを非破壊で広域に渡って評価するために使用されています。

  • 作物の生育状況モニタリング:作物の分光反射特性から、葉面積指数や葉緑素含有量を推定し、生育の空間的ムラを把握して、適切な施肥や灌漑の管理に役立てられます。
  • 病害の早期発見:作物の分光反射特性の変化から病害の初期症状を検出し、早期の防除対策を講じることができます。
  • 土壌の養分管理:裸地の分光反射特性から土壌の養分状態や有機物含有量を推定し、適切な施肥計画の立案に活用できます。
  • 収量予測のための測量:植生指数(NDVI, EVI等)を用いて作物の生育段階や健康状態を評価し、精密農業の実践に活用しています。

ドローン測量と一括りにするのではなく、目的に合った測量方法を見極めることが重要

農業・林業等のさまざまな業界でドローン測量をする機体

ドローン測量には、写真測量、レーザー測量、赤外線測量、マルチスペクトル測量など、様々な測量方法があり、それぞれが独自の特徴と強みを持っています。

測量の目的や対象物、求められる精度や効率、コストなどを総合的に考慮し、最適な測量方法を選択することが重要です。ドローン測量を一括りにするのではなく、本記事に記載してある各測量方法の特性を抑え、現場の条件に合わせて適材適所で活用できるように覚えておきましょう

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この記事を書いた人

1等無人航空機操縦士資格保有

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