ドローンの撮影や飛行に関する法律とは?日本と海外の違いもご紹介

公開:2024.05.07  更新日:2024.05.31

ドローン全般

法律

法律を守って飛行するドローン

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自社のマーケティング戦略の1つとしてドローン飛行させて動画撮影をしたいと考えているけれど、法律での規制内容や罰則についてよくわからずあと一歩踏み出せない人はいませんか?

この記事ではドローンに関する法律一覧と、日本海外の違いについて詳しく解説します。

ドローンに関する法律の一覧

ドローンに関する規制を確認するパイロット

ドローンはまだ新しい技術の1つであるため、今後市場での普及をさらに促進するために規制が緩和される可能性もあります。一方で新しい課題が出てきた時には、それに即して規制が厳しくなることもあるでしょう。

航空法

技術や市場がまだ発展途上であることを踏まえて、2024年4月現在のドローン規制する法律一覧でご紹介します。

航空法とは民間の航空機が航行する際の安全や航行の障害を防ぐ方法を定め、航空機を運航して営む事業を適正で合理的に営めるようにすることで、輸送の安全と利便性の向上を目的として作られた法律です。

 

ドローンについて規制する内容と違反時の罰則は次の通りです。

規制する内容・第11章「無人航空機」に以下の規制内容を記載 ・機体登録 ・飛行計画の通報 ・飛行日誌の作成 ・飛行禁止区域 ・飛行方法
違反時の罰則第157条6項~第157条11項の「無人航空機の飛行等に関する罪」に違反内容に応じた懲役の長さや罰金の金額などを記載

航空法ではドローンを飛行させる前にしておかなければならない手続きや飛行できる場所、飛行方法などのルールが細かく定めてあるのがわかります。

ドローンの飛行を計画しているなら、まず目を通しておきたい法律です。

参考:e-GOV法令検索「航空法」

参考:国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」

小型無人機等飛行禁止法

小型無人機等飛行禁止法とは、国会議事堂、内閣総理大臣官邸、その他国の重要な施設の上空における小型無人機などの飛行を禁止することで、重要施設に対する危険を防止し国民生活や経済活動の安全を守るのを目的として作られた法律です。

ドローンについて規制する内容と違反時の罰則は次の通りです。

規制する内容・第11章「無人航空機」に以下の規制内容を記載 ・機体登録
違反時の罰則第157条6項~第157条11項の「無人航空機の飛行等に関する罪」に違反内容に応じた懲役の長さや罰金の金額などを記載

航空法ではドローンを飛行させる前にしておかなければならない手続きや飛行できる場所、飛行方法などのルールが細かく定めてあるのがわかります。

ドローンの飛行を計画しているなら、まず目を通しておきたい法律です。

参考:e-GOV法令検索「航空法」

参考:国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」

小型無人機等飛行禁止法

小型無人機等飛行禁止法とは、国会議事堂、内閣総理大臣官邸、その他国の重要な施設の上空における小型無人機などの飛行を禁止することで、重要施設に対する危険を防止し国民生活や経済活動の安全を守るのを目的として作られた法律です。

ドローンについて規制する内容と違反時の罰則は次の通りです。

規制する内容規制する内容 第2条で定める対象施設や対象施設周辺地域の上空におけるドローンの飛行を禁止
違反時の罰則第13条の「罰則」規制に違反した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金と記載

例外として小型無人機等飛行禁止法の規定は、以下の場合には適用されません。

  • 対象施設の管理者かその同意を得た人による飛行
  • 土地の所有者がその土地の上空で行う飛行
  • 土地の所有者の同意を得た人が、同意を得た土地の上空で行う飛行
  • 国や地方公共団体の業務をするために行う飛行

 

ただし対象となる防衛関係施設と空港の敷地や区域の上空(レッドゾーン)においては

以下の場合であっても管理者の同意が必要となるので注意しましょう。

  • 土地の所有者か占有者がその土地の上空において行う飛行
  • 国や地方公共団体の業務をするために行う飛行

 

警察庁のホームページの「小型無人機等飛行禁止法関連」のページに詳細が記載されているので、国の重要な施設近辺でドローンを飛行させたい人はまず目を通してください。

 

参考:e-GOV法令検索「重要施設の周辺区域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」

参考:警察庁「小型無人機等飛行禁止法関連」

電波法

電波法とは、電波の公平において能率的な利用を確保することで「公共の福祉を増進する」目的として作られた法律です。

ドローンの飛行には電波を利用しているため、電波法の規制も受けることになるのです。

ドローンについて規制する内容と違反時の罰則は次の通りです。

規制する内容第4条に無線局を開設する際は総務大臣の免許を受ける必要があり、ドローンを利用する場合もこの規定が適用される
違反時の罰則第110条に免許なしに無線局を開設した場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金と記載

総務省電波利用ホームページの中の「ドローン等に用いられる無線設備について」のページに、ドローンに使われている電波や無線局免許についての詳細があるので、目を通しておきましょう。

参考:e-GOV法令検索「電波法」

参考:総務省電波利用ホームページ「ドローン等に用いられる無線設備について」

民法

民法とは、市民の自己決定を尊重し自己責任で行動できることを目的とした法律です。

 

規制する内容第207条に土地の所有権は法令の制限内においてその上下に及ぶとの記載あり、ドローンも私有地の上空を飛行させる場合は土地の所有者の許可を必要とする
違反時の罰則定められていない

民法には罰則は定められていないので懲役を受けたり罰金を支払ったりする必要はありません。しかし民法に違反し、不当な損害を与えた場合は損害賠償請求をされる可能性があるのを覚えておきましょう。

参考:e-GOV法令検索「民法」

道路交通法

道路交通法とは道路における危険を防いで交通の安全と円滑化を図り、道路の交通からくる障害を防ぐのを目的とした法律です。

規制する内容第77条に道路の使用の許可について記載があり、ドローンの離着陸を公道上で行う場合は使用許可が必要となる
違反時の罰則第8章に反則行為があった場合の手続きについて記載

道路交通法への違反に対する処分は、基本的に行政処分(反則金の支払など)です。

重大で悪質な違反の場合は刑事処分(懲役・禁固・罰金など)の対象になることを覚えておきましょう。

参考:e-GOV法令検索「道路交通法」

個人情報保護法

個人情報保護法とは、デジタル社会となって個人情報の利用が拡大していることから、個人情報の適正で効果的な活用について定め、個人の権利や利益を保護するのを目的とした法律です。

規制する内容 第77条に道路の使用の許可について記載があり、ドローンの離着陸を公道上で行う場合は使用許可が必要となる
違反時の罰則第9章に反則行為があった場合の手続きについて記載

道路交通法への違反に対する処分は、基本的に行政処分(反則金の支払など)です。

重大で悪質な違反の場合は刑事処分(懲役・禁固・罰金など)の対象になることを覚えておきましょう。

参考:e-GOV法令検索「道路交通法」

都道府県や市区町村の条例

ドローンを飛行させる場合、法律だけではなく各都道府県や市町村の条例に違反していないかどうかも確認しておく必要があります。

例えば公園でのドローン飛行は、迷惑行為にあたるとして禁止している地方自治体が多いので注意しましょう。

ドローンに関する法律規制の日本と海外の違い

ドローンに関する法律規制の日本と海外の違い

海外におけるドローン法律規制の方針は大きく次の7種類にわけられます。

  • 全面禁止
  • 一部禁止
  • 制限を適用
  • 目視できる範囲での飛行を許可
  • 目視できない範囲での飛行を許可
  • 制限なし
  • そもそもドローンに関する法律が存在しない

 

海外におけるドローン法律規制の特徴をエリア別にご紹介します。

エリア特徴
ヨーロッパ・ドローンに関する規制をEU全体で強化 ・EASA加盟国は独自のルールも設定できる ・飛行するドローンのクラスと飛行場所によって異なるルールが適用される ・ドローンのオペレーターや所有者は登録が必要
北アメリカ・カナダ、ケイマン諸島、アンティグア・バーブーダ、その他のカリブ海諸国では実験的な法律を制定 ・連邦航空局ではアメリカ向けに新しい規則を作り許可があれば人の上空や夜間でも飛行可能。2023年までに空を飛ぶすべてのドローンに識別番号を付け、パイロットの位置をアナウンスしなければならないと義務付け
南アメリカ・安全性と環境保護を目的とした独自のドローン規則がある ・目視できない範囲の飛行を許可しているのはガイアナ(南米エリア)のみ
中東・中央アジア・ドローン関連の法律を制定している国の21%がドローンを全面禁止 ・アジアの15%の国がドローンを事実上禁止
その他アジア・オセアニア地域・オセアニアの56%の国にはドローン関連の法律がない ・オーストラリアとニュージーランドにはドローンが目視外を飛行するための規定がある
アフリカ・アフリカの半数以上の国にはドローン関連の法律がない ・13%の国がドローンを事実上禁止 ・ガーナとルワンダでは遠隔地の村に医療物資を届けるためにドローンの目視できない範囲での飛行を許可 ・ウガンダとジンバブエではドローンの目視できない範囲での飛行を許可

同じドローンに対する規制でもそれぞれの国の事情によって違いがあり、全面禁止の国から実験段階の国、ルールに基づいていれば飛行できる国などいろいろな考え方があるのを知っておきましょう。

参考:Surfshark「世界各国のドローンプライバシー法」

ドローンに関する法律の規制

法律の規制に注意しながら飛行するドローン

ドローンに関して、具体的にどのように規制されているかを法律別にご紹介します。

航空法での規制

航空法では飛行できる場所、飛行の方法、機体の登録、資格制度について触れているのでそれぞれの内容をご紹介します。

飛行できる場所の規制

航空法ではドローンの飛行が規制される空域を次のように定めています。

項目概要規制内容法律
緊急用務空域 ・防活動などの緊急用務を行うための航空機の飛行が想定される場合に、無人航空機の飛行を原則禁止する空域のこと ・範囲は国土交通省のホームページやXで告知・飛行を原則禁止航空法第132条85項
空港などの周辺の空域・空港やヘリポートなどの周辺に設定されている進入表面、転移表面、水平表面、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺のこと・国土交通大臣の許可が必要 航空法第132条85項
150m以上の上空・地表または水面から150m以上の高さの空域のこと・国土交通大臣の許可が必要 航空法第132条85項
人口集中地区の上空・5年ごとに実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域 ・人口集中地区かどうかは地理院地図で要確認・国土交通大臣の許可が必要航空法第132条85項

これらの規制は各空域を飛行する航空機の安全を確保するのを目的に行われていることを理解しましょう。

飛行の方法の規制

航空法ではドローンの飛行方法についても規制しています。

まずドローンを飛行させるにあたって順守しなければならない事項は次の通りです。

  • アルコールや薬物を摂取した状態で飛行させてはいけない
  • 飛行前確認を必ず行う
  • 航空機や他のドローンと衝突しないように飛行させる
  • 他人に迷惑をかけないように飛行させる

また承認が必要となる飛行の方法は次の通りです。

  • 夜間の飛行
  • 目視できる範囲外の飛行
  • 人や物件との距離を確保できない飛行
  • 催し場所の上空における飛行
  • 危険物の輸送
  • 物件の投下

詳細な内容は国土交通省の「無人航空機の飛行許可・承認手続」のページに記載があるので確認をしておきましょう。

機体の登録についての規制

航空法ではドローンの機体の登録についても第11章第1節で規制しています。

ドローンの機体登録制度ができた背景には、ドローンの利活用が進む中事故や無許可で飛行させる事例が頻発したというのがあります。

機体登録をするメリットは次の3つです。

  • 事故が発生した時所有者を把握できる
  • 事故の原因究明や安全確保ができる
  • 安全上問題がある機体の登録を拒否し空の安全を確保できる

また登録の手順は次の通りです。

  1. オンラインまたは書類提出による申請
  2. 申請に係る手数料の納付(クレジットカード、インターネットバンキング、ATMのどれかで入金)
  3. 登録番号の発行

詳細な登録の手順は、国土交通省が運営する「無人航空機登録ポータルサイト」で案内されているので必要な人は目を通しておいてください。

資格制度について

ドローンを飛行させるのに必須ではありませんが、航空法第11章第3節で「無人航空機操縦者技能証明」について規定されています。

無人航空機操縦者技能証明とは、ドローンを飛行させるのに必要な技能をがあるのを証明する国家資格制度です。

前の項目で空港などの周辺の空域、150m以上の上空、人口集中地区の上空は国土交通大臣の許可を得ないとドローンを飛行させることはできないとお伝えしました。

しかし「無人航空機操縦者技能証明」の資格を取得していれば、許可の申請が不要となったり、資格取得者しか飛行できない空域が存在したりします。

ドローンを使った撮影の仕事を長期間行う場合は、資格の取得も視野に入れるとよいでしょう。

詳細は国土交通省のホームページにある「無人航空機操縦者技能証明等」のページで確認してみてください。

参考:e-GOV法令検索「航空法」

小型無人機等飛行禁止法での規制

小型無人機等飛行禁止法ではドローンの飛行が禁止される空域を次のように定めています。

  • 対象施設の敷地や区域の上空(レッド・ゾーンと呼ぶ)
  • 周囲おおむね300mの上空(イエロー・ゾーンと呼ぶ)

対象施設は小型無人機等飛行禁止法で次のように指定されています。

項目概要
対象施設・国の重要な施設など(国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居、危機管理行政機関の庁舎、対象政党事務所) ・対象外国公館など ・対象防衛関係施設(2019年改正で追加) ・対象空港(2020年改正で追加) ・対象原子力事業所

具体的な施設名は、警察庁のホームページの「小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係」というページに掲載されているので、目を通しておきましょう。

参考:e-GOV法令検索「重要施設の周辺区域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」

その他の法律での規制

民法、道路交通法、各都道府県の条例では以下のエリアでのドローン飛行は禁止または許可を必要とします。

  • 私有地
  • 道路
  • 公園
  • 一部の河川
  • 一部の海岸
  • 船の航行を邪魔する海上
  • その他のエリア

詳細な条例の内容を確認したい場合は国土交通省のホームページに「無人航空機の飛行を制限する条例等」というPDFが掲載されているので目を通しておきましょう。

ドローンを法律の規制を受けずに飛行させるためには?

ドローンを法律の規制を受けずに飛行をサポートするスタッフ

ドローン法律規制を受けずに飛行させるには、今までご紹介してきた規制を受ける条件以外の空域や方法で飛行させればよいので、次のような条件下で飛行させるとよいでしょう。

  • 日中に飛行させる
  • 目視できる範囲内で飛行させる
  • 人や建物などから30m以上距離を取って飛行させる
  • 危険物を搭載しないで飛行させる
  • 物件投下や農薬散布をしない
  • 他人のプライバシーや肖像権を侵害しない
  • 屋内で飛行させる
  • イベント会場を避けて飛行させる

ドローンでの撮影を行いたいけれど、継続的ではなく複雑な手続きや資格を取得するほどでもないといった場合に検討してみましょう。

まとめ

ドローンを飛行させる場合は航空法だけではなく多数の法律規制が加わるので、よく内容を確認しないと法令違反となり、罰則が適用されてしまいます。

 

このようなことを避けるためにもこの記事も参考にして、法律について理解を深めてからドローンを飛行させるようにしてみてください。

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この記事を書いた人

1等無人航空機操縦士資格保有

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