ドローンを飛ばせる場所とは?便利な地図やアプリもご紹介
公開:2024.05.15 更新日:2024.05.20
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ドローンには飛行許可申請を提出しても飛ばせない場所や、飛行場所・飛行方法に応じて各関係機関へ異なる申請を出さなければいけません。概要は把握しているが、詳しくわからないから「飛ばせる場所を簡単に調べる方法」を知りたいと悩んでいる人はいませんか?
この記事ではドローンを飛ばせる場所と、それを調べる方法についてご紹介します。
ドローンを飛ばせる場所とは?
飛行許可申請を行ったうえでドローンを飛ばせる場所は、法律や地域の条例で規制されている空域外のことです。
このことを踏まえて、ドローンを飛ばせる場所として「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」で規制されている空域外とはどこかをご紹介します。
航空法で規制されている空域外
航空法では航空機の安全な航行に影響をおよぼす可能性がある空域と、ドローンがもし落下した場合に地上の人に危害を及ぼす可能性がある空域については、あらかじめ国土交通大臣の許可を受けなければならないというルールを設けて規制をしています。
上記の空域以外であれば規制がかからないため、事前のドローンを飛ばせる場所は次の4つです。
150m未満の上空
航空法第132条の85第1項第1号で、航空機の安全な航行に影響をおよぼす可能性がある空域として定められているのが150m以上の空域です。
そのため、特別な申請をせずにドローンを飛ばせる場所とは150m未満の空域となります。
150m以上の空域を飛行させる場合やエリアによては別途、申請が必要になります。
緊急用務空域以外
航空法第132条の85第1項第1号で、航空機の安全な航行に影響をおよぼす可能性がある空域として定められているのが緊急用務空域です。
緊急用務空域とは、警察や消防活動などの緊急用務をするための航空機の飛行が考えられる場合にドローンの飛行を原則禁止する空域のことで、最新情報は国土交通省の「緊急用務空域の公示」のページと、Xの「国土交通省航空局 無人航空機」アカウントで発信されます。
地表・水面から150m以上の空域やDID区域(人口集中区域)上空の飛行許可を得ていても、緊急用無空域の飛行は難しいです。
これらのことから、ドローンを飛ばせる場所とは緊急用務空域以外の空域となります。
空港などの周辺の空域以外
航空法第132条の85第1項第1号で、航空機の安全な航行に影響を及ぼす可能性がある空域として定められているのが空港などの周辺の空域です。
空港などの周辺の空域とは、飛行場周辺の航空機の離陸や着陸の安全を確保するものとして、国土交通大臣が告示で定める空域で、次の2つのページで該当するかが確認できます。
・国土交通省「空港等設置管理者・空域を管轄する機関の連絡先について」
これらのことから、ドローンを飛ばせる場所とは空港などの周辺の空域として定められた空域以外となります。
人口集中地区(DID)以外の上空
航空法第132条の85第1項第2号で、人または家屋の密集している地域の上空として定められているのが人口集中地区の上空です。
なお人工集中地区とは、定期的に実施されている国勢調査に基づいて「人口密度が4000人/㎢以上、かつ全体人口5000人以上の地域」を指します。
人口集中地区とは、5年ごとに行われる国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域で、総務省統計局の「人口集中地区境界について」というページで詳細が確認できます。
これらのことから、ドローンを飛ばせる場所とは人口集中地区(DID)以外の上空となるため、事前に国土交通省への許可・承認申請を得なければいけません。
小型無人機等飛行禁止法で規制されている空域外
小型無人機飛行禁止法は正式名称を「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」と言い、重要施設とその周囲300mの周辺空域の上空におけるドローンの飛行を禁止しています。
小型無人機飛行禁止法では、重要施設とその周囲300mの周辺空域以外の上空と、飛行禁止の例外空域では規制がかからないので、ドローンを飛ばせる場所としてこの2つの詳細をご紹介します。
重要施設とその周囲300mの周辺空域の上空以外
小型無人機飛行禁止法では対象施設を第2条第1項で次のように定めています。
施設の種類 | 具体例 | 定めた目的 |
---|---|---|
国の重要な施設など | 国会議事堂など | |
内閣総理大臣官邸など | ||
危機管理行政機関 | ||
最高裁判所庁舎 | ||
皇居・御所 | ||
政党事務所 | ||
外国公館など | ー | 良好な国際関係の維持 |
空港 | ー | 国民生活と経済活動の基盤維持 |
原子力事業所 | ー | 公共の安全の確保 |
そして飛行禁止場所は以下の2つです。
- 対象施設の敷地・区域の上空(レッド・ゾーン)
- 周囲おおむね300mの上空(イエロー・ゾーン)
これらのことから、ドローンが飛ばせる場所とはレッド・ゾーンとイエロー・ゾーン以外となります。
飛行禁止の例外空域
小型無人機飛行禁止法では飛行禁止の例外空域を4つ定めています。
- 「対象施設」の管理者またはその同意を得た人による飛行
- 土地の所有者などがその土地の上空で行う飛行
- 土地の所有者の同意を得た人が、同意を得た土地の上空で行う飛行
- 国や地方公共団体の業務をするために行う飛行
ただし防衛関連施設と、空港の敷地や区域の上空では以下の飛行でも対象施設の管理者の同意が必要です。
- 土地の所有者または占有者がその土地の上空において行う飛行
- 国や地方公共団体の業務をするために行う飛行
これらのことから、飛行禁止の例外区域はドローンを飛ばせる場所となります。
参考:e-GOV法令検索「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」
条例で規制されている空域外
ドローンの飛行は条例でも規制されているため、規制されている空域の例をいくつかご紹介します。
地域 | 適用される条例 | 規制内容 |
---|---|---|
北海道釧路市 | 釧路市千代ノ浦マリンパーク条例第3条第10項 | 千代ノ浦マリンパークにおけるドローンの飛行は原則禁止だが市長の許可を受けた場合に限り飛行させられる |
群馬県富岡市 | 富岡製糸場条例第4条第 1項第2号 | 個別に撮影許可申請書を提出し、認められる場合は飛行させることが可能だが建物、展示物、附帯設備等に損傷を与えるおそれがあると認められる場合は飛行の制限を行う |
埼玉県志木市 | 志木市立秋ケ瀬運動場施設条例第12条第1項 | 秋ケ瀬運動場施設内でのドローンの飛行は原則禁止だが教育委員会が認めたら飛行できる |
東京都八王子市 | 王子市都市公園条例第3条の2第1項第9号 | 市内の公園、緑地などにおいて他の利用者の安全のため、ドローンの使用を原則禁止 |
神奈川県鎌倉市 | 鎌倉市都市公園条例第3条第10号 | 公園敷地内でのドローン飛行は原則禁止 |
愛知県 | 弥富野鳥園条例第3条 | 野鳥やその生息地保全のため、ドローンの飛行は禁止(ただし、学術研究や調査を目的とした飛行など県 が認める場合を除く) |
大阪府吹田市 | 吹田市都市公園条例第5条第9号 | 危険な行為としてドローンの飛行を例外なく禁止 |
京都府京都市 | 京都市地域体育館条例第6条 | 原則禁止だが指定管理者が許可した場合は可能 |
広島県府中市 | 府中市こどもの国条例第6条2号 | 他人に危害をおよぼす危険な行為や秩序、風俗を乱す行為を禁止 |
条例内でドローンの飛行は場所によっては危険行為、秩序や風俗を乱すものとしてとらえられているのが特徴的です。
これらのことから、条例で規制されている場所以外はドローンが飛ばせる場所となります。
ドローンを飛ばせる場所を調べられる地図やアプリ
ドローンを飛ばせる場所を手軽に調べる方法はないのでしょうか。
おすすめの地図やアプリを3つご紹介します。
ドローンフライトナビ
ドローンフライトナビは、国内で2017年に初めてリリースされた日本におけるドローンを飛ばせる場所をアプリとWeb(β版)両方で確認できるツールです。
具体的には航空法で規制されている人口集中地区、空港などの周辺の空域、小型無人機飛行禁止法で定める飛行禁止区域などを調べることができるため、それ以外の場所でドローンを飛ばせばよいのです。
ドローンユーザーが開発しているため法改正などへの対応も早く、きめ細やかなサービスがユーザーからも高く評価されています。
スマホで手軽にドローンを飛ばせる場所を知りたい人は、公式ホームページからアプリをインストールしておきましょう。
FLYSAFE
FLYSAFEはDJIが提供する、海外も含めてドローンが飛ばせる場所はどこなのかを確認できる地図です。
ホームページには地図だけではなく、現地の法規制について正しく学べる各国のホームページにもリンクが貼ってあるため、探し回る手間が省けます。
海外でドローンを飛ばそうと考えている人は、まずFLYSAFEのホームページを見て現地の法令を守って飛ばすようにしましょう。
SORAPASS
SORAPASSはドローンの飛行に必要な情報提供から手続きのサポートなど、さまざまな飛行支援を行うサービスです。
具体的にはドローンを飛ばせる場所の情報を調べられるだけでなく、ドローンの安全な飛行のために必要な気象情報の収集や飛行日誌作成などもできます。
ドローンを飛ばせる場所の情報収集だけではなく、飛行全般に関するサポートを受けたい人は料金プランを確認した上で、SORAPASSの利用を考えてみましょう。
まとめ
ドローンを飛ばせる場所とは、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」などの法律や地域の条例で規制されている空域外のことです。
私有地内でも、上空150m以上を飛行する場合には国土交通省への申請が欠かせません。
そのほかドローンを飛ばせる場所であっても、次のような方法で飛行をする場合は地方航空局長の承認を受ける必要があります。
- 夜間の飛行
- 目視外での飛行
- 人や物件と距離を確保できない飛行
- 催し場所上空での飛行
- 危険物の輸送
- 物件の投下
飛行するエリアや方法に対する法律や条例の規制がなぜ行われているのかをあらかじめ理解した上、法律と条例を守ってドローンを飛ばすよう心がけてみてください。
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この記事を書いた人
1等無人航空機操縦士資格保有
ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。