Japan Droneはどんな展示会?2024年度の展示を厳選して紹介!

公開:2024.06.21  更新日:2024.06.27

ドローン全般

Japan Drone会場

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国土交通省がドローンを使用した外壁点検等を推進しているように、現在ドローンを使用した業務は様々な場面で社会実装が求められています。

しかし、ただ実装するだけではリスクが発生する可能性が高いため、より安全にドローンを社会実装するためにはさまざまなテクノロジーの開発が不可欠です。

ドローンを利用していで民間利用だとどんなテクノロジーが開発されているかをどう把握すればいいか分からないと思う方も多いでしょう。

そんな方に来場をオススメしたいのが「Japan Drone」という国内最大規模のドローンに関する展示会です。

本記事では、2024年6月5日(水)~7日(金)に幕張メッセで開催されたJapan Droneに参加した筆者が、Japan Droneがどういう展示会なのかという点や実際に出展されていた内容などを解説します!

Japan Droneとは

Japan Droneは一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が主催する、国内最大規模のドローンに特化した展示会の名称です。

Japan Droneは2016年に初開催されて以来毎年開催されており、2024年6月5日(水)~7日(金)の開催で第9回目を迎えました。

2022年からは「次世代エアモビリティEXPO」を同時開催しており、近年話題の空飛ぶクルマ等を含む「次世代移動体システム(AMS)」に関する展示も行われています。

Japan Droneはただドローン等を展示するだけではなく、ドローンをより社会実装するための最新テクノロジーや技術などに関する展示や講演会なども行われており、数少ないドローンに関する商談の場としても活用されている展示会です。

2024年度は2023年度開催時を2,000人ほど上回る21,273名が来場しました。

Japan Drone 2024で実際に出展されていた展示内容

先述したように、Japan Droneはただ機体を展示するだけではなく、ドローンをより効率的に運用するために開発された技術や、ドローンを安全に利活用する上で重要なドローン自体のデータを取得するサービス、大阪万博で実機展示を予定している空飛ぶクルマなどさまざまな展示が行われていました。

以下では、その中でも実際にドローンを使う業務の安全性を促進する2つのテクノロジーを紹介します。

展示例①SoftBankの「SoraBase」

SoftBankの「SoraBase」

SoftBankと聞くとスマートフォンやWiFiの光回線を想像するかもしれませんが、SoftBankやdocomo、KDDIなどの通信事業者はドローンを飛行させる時に5G回線を利用するテクノロジーなどの開発に取り組む事業者としての側面もあります。

今回ご紹介するSoftBankでは、「SoraBase」という法人向けの国産ドローン販売や測量、点検のソリューションを提供するサービスについて展示していました。

SoraBaseは、ソフトバンクが提供する法人向けの総合的なドローンサービスとして、レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)を見据え、2024年6月5日にサービス提供を開始されたサービスです。

SoraBaseで販売される機体は株式会社アミューズワンセルフが開発した長時間飛行可能で高解像度カメラ等の搭載も可能な機体など、国産ドローンに限定されています。

ただし今後も国産ドローンに絞るという訳ではなく、2025年以降にはAI搭載予定の韓国製ドローン「AiDEN by NEARTHLAB」の販売を予定しているとのことでした。

国内でもっとも普及しているのは中国産であるDJI製ドローンですが、日本国内でも中国製ドローン使用に伴う情報漏洩リスクについて言及されています。

そのため、今後新しくドローンを導入する予定の企業には、SoraBaseで購入できるような国産等のドローンがオススメです。

SoraBaseは将来的に、1人の操縦者が複数機のドローンを運航する「1対多運航」を想定したソリューションの提供を予定しているとの事でした。

このソリューションは飛行機の管制官のように複数の機体の飛行位置把握や機体状態の可視化など、これらをリモートで把握しつつ、運航に欠かせない期待制御や映像伝達について必要な通信システムを提供する、目視外飛行を前提とした技術です。

加えて、DIPS2.0で利用出来る飛行計画通報機能よりに似た通知機能や自動飛行のためのルート設定も1つのツール上で完結するため、利用者側にとっても使いやすいのも特徴のひとつです。

現在はまだ提供開始されていないものの、2025年以降にSoftBankからドローン用の5G回線やLTE回線が提供開始されたら遠距離でも点検や測量を行えるようになります。そのため、ドローンの社会実装という観点において注目したいソリューションのひとつでしょう。

展示例②GMO INTERNET GROUPの「DOP SUITE」

GMOインターネットグループを複数に渡る展示デモンストレーションを行っていましたが、本記事では、その中のひとつであるDOP SUITEについて紹介します。

DOP SUITE(ドップ スイート)は、ドローンの安全で安定した運用管理をサポートするクラウドサービスです。

ドローン・ジャパン株式会社、パナソニック システムデザイン株式会社、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社の3社が共同で開発・提供しています。

先述したSoraBaseは運行管理に特化したシステムでしたが、DOP SUITEは機体状況の把握に特化したシステムです。

DOP SUITEの主な特徴は、ドローンの「頭脳」に当たるフライトコントローラーの動作制御を担当するソフトウェアであるファームウェアに、オープンソースのArduPilotを採用した機体の飛行中の状況をデータとして取得できることです。ArduPilotとは、ドローンなどの無人機向けに開発された、誰でも自由に利用・改変できるオートパイロットソフトウェアのことを言います。

DOP SUITEでは飛行レポート(地図や振動など)、機体アラート、機体ログデータ管理、ファームウェア管理などの情報を取得できるほか、メーカーに対して修理を依頼する際に、直接メーカーに対してDOP SUITEで取得した機体の飛行中ログや機体アラートなどのデータをそのまま提供できます。

従来の機体修理依頼では、メーカーと修理希望者の間に代理店が挟まり伝言ゲームのような状態で修理を依頼するしかありませんでした。

しかし、DOP SUITEが導入された機体であれば、ユーザーは代理店を通さず直接ドローンメーカーに対してデータを提供して不具合の報告できるため、より効率的かつスピーディーな修理依頼が実現できます。

ドローンを販売するメーカーにおいては、ユーザーからのDOP SUITEのデータを含んだ問い合わせに対し、該当機体の詳細データを確認して的確なサポートが可能です。

DOP SUITEに最初に対応した機体はイームズロボティクスの第二種型式認証取得機体「E6150TC」ですが、今後はArduPilotを採用する他のドローンメーカーへの対応も進めていく予定とのことでした。

ドローンは非常に細かく設計されている精密機械であるため、ちょっとしたメンテナンスの不備や初期不良など、様々な要素において不具合を発生することは珍しくありません。

ですが、我々ユーザにとっては、発生した不具合が自分による過失なのか、初期不良なのか判断しにくく、不具合が発生した際のメーカーに対する情報提供も、十分な情報を提供することは難しいです。

しかし、DOP SUITEを導入したドローンを使用していれば、例えば電圧が急に下がったなど、見た目では判断しかねる機体の状況をデータとして把握できます。

今後、DOP SUITEがさらに普及していけば、より効率的に機体整備ができ、メーカーに対する修理依頼も速やかに対応できるようになることでしょう。

展示例③株式会社AirXによる空飛ぶクルマ「EH216-S」模型の展示

株式会社AirXは次世代エアモビリティの社会実装とインフラ構築を目指す企業として、Japan Drone 2024fで中国のEHang社の「EH216-S」模型を展示し、大手航空機メーカーエンブラエル傘下のEve Air Mobility社の機体について解説しました。

AirXはヘリコプター事業において、航空会社が抱える遊休機体とユーザーをマッチングするプラットフォームを提供し、フライトの実績数で国内トップを誇っている企業です。

サービス提供に留まらず、予約管理や在庫管理、運航管理のシステム開発なども手掛け、エアモビリティ社会の実現に向けて多岐にわたる事業展開を行っています。今回展示したEH216-Sは2023年にAirXが提携を結んだ、EHang Holdings Limited社製の空飛ぶクルマです。

EH216-Sは、世界初の型式証明を取得した2人乗りの機体で、20分・35kmの短距離飛行に適しています。中国本土では限定的ではあれど既に運用が始まっており、今後は遊覧や医療、貨物輸送などの用途が想定されている、Japan Drone 2024の出展の中ではもっとも実装に近いとも言える空飛ぶクルマです。

AirXの担当者にお話を伺ったところ、「将来的には既存のヘリコプター遊覧の代替としてEH216-Sを活用していきたい。」とコメントを頂きました。

AirXがEHang Holdings Limited社に次いで2024年から提携を開始したEve Air Mobility社の機体は、航空機メーカーのバックボーンを持つ信頼性の高い機体として注目されている機体です。

2027年頃に日本への導入を予定しており、AirXはこの機体を用いて、都市間の移動や観光用途でのサービス提供を計画しています。

特に、既存のヘリコプターでは難しかった都心部での運用や、屋上ヘリポート、公園などでの離着陸などを実現したいとのことです。

EH216-Sの型式認証は中国独自の型式認証であり、日本国内で適用されるものではありません。しかし、国としての基準をクリアしたEH216-Sの安全性やスペックなどは、一定以上の品質が保たれていることでしょう。

日本国内での実装はまだ先かもしれませんが、今後EH216-Sが導入された時は、離島や山間部への移動も手軽になる可能性が高いため、実装されるのが楽しみです。

ドローンに関する最新技術を知りたいならJapan Droneに参加すべき

ドローン技術でビジネスをしたい方はもちろん、自社で行っている点検や測量などをなるべく効率的に行えるよう導入したいと考えている方など、ビジネスとしてドローンを活用したい方には一度はJapan Droneに参加してみることをお勧めします。

毎年開催されるJapan Droneは各企業の開発進捗を把握することができ、もし自社に導入したテクノロジーなどがあれば、その場で相談することも可能です。

どうしても、ドローンに関する開発技術は様々な分野で展開されており、インターネット上での情報収集だけでは限度があります。実際に、ドローンテクノロジーを導入したいまたはどんなものがあるかを知りたいと考えるのであれば、まずは、実際にJapan Droneに足を運び、その目、その体で開発されている技術を体感してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

DJI CAMP スペシャリスト民間資格取得/webライター

2022年にDJI CAMP スペシャリスト等の民間資格取得し、
インストラクターとして登録講習機関の国家試験学科対策テキストを執筆。
現在はメンターやライターとして活動中です。
ドローンは難しく聞こえがちな言葉が多いため、
初心者でもわかりやすい記事を執筆するドローンライターを目指しています。
https://x.com/seri_nonnon

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