【初心者向け】ドローン操縦に資格は必要?知っておきたいドローンスクールや民間資格の基本

公開:2024.07.09 

ドローンスクール

【初心者向け】ドローン操縦に資格は必要?知っておきたいドローンスクールや民間資格の基本

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ドローンに興味を持ち「屋外でドローンを飛ばしてみたい!」と思い、色々と調べていたらドローンスクールに通ったほうがいいと言う意見が多くて利用するかを迷っている、という方は非常に多いです。

ドローンは、民間資格や国家資格を取得していなくても、屋外で操縦すること自体はできます。では、資格が不要なのに、わざわざドローンスクールを利用する意味はあるのでしょうか?

本記事では、ドローン初心者に向けて、プロのスクールを利用する必要性やメリットなどをなるべく詳しく解説します。

民間資格を取得できるドローンスクールとは?

民間資格を取得できるドローンスクール

ドローンスクールは、ドローンの操縦技術や関連知識を体系的に学べる民間の教育機関です。

一般的には、国土交通省に管理団体または講習団体として認定されたドローンスクールのことです。

ドローンスクールではインストラクターが座学と実技の両面からドローンの基礎を初心者でもわかるよう、丁寧に指導します。座学では、航空法や電波法などの法律知識、気象条件の見方、ドローンの構造や機能、必要な申請や手続き方法などについて学習可能です。

実技では、離着陸や基本的な操縦技術から、より高度な飛行・空撮テクニックまで、段階的に習得していきます。

特に初心者の方に重視して欲しいのは、安全面でのリスク管理です。ドローンは正しく扱えば素晴らしいツールですが、誤った使用は事故につながりやすいです。

ドローンスクールではリスク管理や緊急時の対応など、安全運用に必要な知識とスキルを徹底的に学べるため、ひとりで実際に操縦する時でも、リスクを低減したドローン操縦を目指せます。

座学試験と実技試験のそれぞれに合格した場合は、各ドローンスクールが提供している民間の認定資格を付与されます。一般的に「ドローンの操縦資格」と呼ばれているのは、このように、ドローンスクールで取得できる民間資格を示していることが多いです。

ドローンに興味はあるけれど何から始めればいいかわからないと言う方や、ラジコンを自己流で操縦した経験はあるけれど、改めて守るべき法律やドローンについての詳細を学びたい方にはドロンスクールの受講をお勧めします。

ドローンを操縦する際に資格は必要?

ドローンを操縦する際に資格の必要の必要性

「ドローンを飛ばせるようになるには、ドローンスクールに通って資格を取得した後じゃなければいけない」と思う方もいるかもしれませんが、ドローンを操縦する上ではドローンスクールの利用や民間資格の取得は必須ではありません。

航空法において、ドローン及び無人航空機の操縦は民間資格がなくても可能です。ただし、屋外でドローンを飛ばす場合は、屋外での操縦経験を10時間以上経験していなければならない基準があります。

そして、この10時間の操縦経験はただ練習すればいいわけではありません。経験者のもとで指導を受けながら10時間の操縦経験を積む必要があります。独学で経験者を見つけ、操縦指導を行ってもらうのは現実的ではありません。

多くのドローン初心者の方は、インストラクターに操縦を指導してもらえるだけでなく、ドローンを操縦する上で、必要な知識や操縦技能などもまとめて教えてもらえるドローンスクールを利用する方が多いです。なお10時間の操縦経験には、屋内での操縦経験は含まれないため注意が必要です。

また、2022年12月からはドローンを含む無人航空機に関する国家資格制度が開始しました。

この制度が導入される前は「国家資格を取得しなければドローンを操縦できない」というような噂が飛び交いましたが、実際は国家資格を取得していなくてもドローンを操縦可能です。

国家資格を取得した状態で条件を満たせば「飛行許可承認申請の一部を省略可能」というだけであり、ドローンを操縦する上での必須条件ではありません。

ドローン操縦に免許は存在する?

ドローン操縦に関する免許の存在について

ドローン操縦の免許とは、官公庁や行政機関が「規制・禁止されている行為を特定の条件を満たした人物に対し、実行を許可された人に付与」される物のことを言います。免許がない人がドローン操縦を実施することは違法です。

一方、資格は特定の知識や技能を持っていることを証明するものですが、必ずしも法的な裏付けはありません。資格を持っていなくても、ドローン操縦・飛行業務を行うことが違法にはならない場合が多いです。

例えば、医師免許がなければ医療行為を行うことは違法ですが、簿記の資格がなくても経理の仕事をすることは可能です。

2024年7月時点では、ドローンの免許は存在していません。国家資格、あるいは民間資格を取得していない場合でも適切に申請をすれば飛行難易度が一定以下の飛行に限り、飛行許可承認の取得が可能です。2022年12月5日からは、新設された「無人航空機操縦士」という国家資格の運用が始まりましたが、レベル4飛行を含むカテゴリⅢ飛行を実施する上では、一等無人航空機操縦士の国家資格が必須であると航空法に明記されています。

DID地区にて補助者無しで行う目視外飛行(レベル4飛行)は、一等無人航空機操縦士を所有している者でなければ実施できません。免許としては登録されていないものの、一等無人航空機操縦士を取得せずカテゴリーⅢ飛行を実施する事は法律違反となるため、限りなく免許に近い国家資格であると捉えて良いでしょう。

なお、二等無人航空機操縦士を取得していない状態で行う飛行においては、法律違反に該当する飛行はありません。ただし、機体認証を受けたドローンを使い、飛行許可承認を省略して飛行する場合には、一等または二等どちらかの資格証を常備していなければ航空法違反となり、罰則の対象に該当するため要注意です。

ドローン操縦に関する民間資格と国家資格の違い

ドローン操縦に関する民間資格と国家資格の違い

民間資格は、国土交通省に認可されたドローンスクールのカリキュラムを受講し、試験に合格すれば取得できる資格です。ドローンやラジコンに触った経験がない初心者でも、どのような点に注意して操縦すればいいかや、実際に操縦する際の注意点等について学習できます。

一般的なドローンスクールにおいては、撮影時に必要な操縦スキルのほか、点検や測量などに必要なスキルを身に付けることも可能です。ドロンスクールで取得できる資格の名前は多岐にわたりますが、基本的にはどの名前の民間資格であっても、国土交通省の認可が降りている資格であれば特に違いはありません。

国家資格はドローンを安全に操縦できるパイロットに付与される資格

国家資格「無人航空機操縦士」は無人航空機を安全に運航できる人材に対して付与される資格であり、民間のドローン操縦の資格と比較すると経験者向きの資格です。

民間資格を取得する際はドローンスクールを利用する必要がありますが、国家資格を取得する際は必ずしもドローンスクールを利用する必要はありません。国家資格は学科試験、実地試験、身体検査それぞれに合格することで取得可能です。

操縦技能が問われる実地試験においては、一定の基準を満たし登録講習機関として認可されたドローンスクールで修了審査に合格した場合に限り、実地試験の受験が免除されます。ただし、登録講習機関を利用しても学科試験は免除されません。

国家資格は一等無人航空機操縦士または二等無人航空機操縦士の2つのみとなっており、ドローンを含むマルチコプターのほか、ヘリコプター型や飛行機型の無人航空機を操縦するパイロットが取得することもあります。

国家資格を取得すれば飛行許可承認申請無しで操縦出来るのは本当?

許可承認申請が必要な飛行カテゴリーの条件表

民間資格と国家資格のもっとも大きな違いとしては「機体認証を受けたドローンを飛行させる場合に、飛行許可承認が不要になるか否か」です。

国家資格を取得しているパイロットが機体認証を受けている機体を操縦する場合、国土交通省からの飛行許可承認を受けずに飛行できます。

民間資格しか取得していないパイロットが機体認証を受けている機体を操縦する場合は、飛行許可承認を受けなければ飛行してはいけません。機体認証と国家資格は、常にペアで活用できるものと認識しておきましょう。

また、2024年6月現在では民間資格を取得している場合は飛行許可承認申請で提出が必要な書類の一部を免除されますが、この優遇措置は2026年12月に廃止される予定です。

ドローン操縦において民間資格を取得するメリットは?

ドローン操縦において民間資格を取得するメリット

優遇措置は数年後に廃止され、法令に違反しない範囲であれば無資格でもドローンの操縦自体は可能なため「わざわざドローンスクールに通って民間資格を取得する意味は無いのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、ドローンの民間資格を取得することには、多くのメリットがあります。

ドローン操縦のための正しい操縦知識や法令知識

車の運転免許と同様に、ドローンを操縦する際にも正しい運用のための基礎知識や法令に関する知識が必要です。

ドローンスクールで体系的に必要な知識やポイントを学ぶことで、航空法や電波法などの関連法規を正しく理解し、コンプライアンス意識を高めることができます。これは、安全な運航を行う責任がある操縦者となるための重要な第一歩です。

また、ドローンは細心の注意を払って操縦・運用すれば、さまざまな用途がある機械です。しかし、一歩取り扱い方を誤れば、人命を奪う可能性すらある精密機器でもあります。

ドローンスクールでは、ただドローンを操縦するための知識だけではなく、実際にドローンを長期間運用していく上で必要な「事故やトラブルの未然の防止方法や対策などに関する指導」をするため、安全運航の土台を築くことができます。

技術面でも資格取得のプロセスを通じて、様々な機種の特性やトラブルシューティング能力を学べます。単に操縦技術だけでなく、機材の取り扱いスキル全般の向上につながるのがポイントです。

ドローン飛行の仕事につながる可能性

ドローンで仕事をしようとする方にとっては、クライアントとの信頼関係を築く際に役立ちます。

数多くのドローンパイロット人材の中からクライアントに選ばれるためにも「クライアントの選定基準になる可能性の高いドローン関連資格」の取得が望ましいです。また一部の保険会社では、資格保有者に対して保険料の割引があるなどの経済的なメリットもあります。

ドローンスクールに通うことで、ドローンパイロット同士の交流や業界の最新情報を得る機会も生まれます。

実際、ドローンスクールの講師を務める筆者に空撮依頼が来た際は、ドローン事業のリソース確保が難しかったためクライアントへのヒアリングをしたのちに「プロジェクトに適したパイロットを紹介」したケースもありました。

このようにドローンパイロット同士での繋がりがあれば案件紹介が発生することもあるため、民間資格取得を通じてコミュニティに所属してみてはどうでしょうか。

初心者におすすめなドローンスクール・民間資格まとめ

初心者におすすめなドローンスクール・民間資格まとめ

ドローンスクールとして国土交通省に認定されている機関は日本全国各地で多数存在します。

マップ検索でドローンスクールと検索するとさまざまなスクールが表示されるため、どこが良いスクールなのか分からず困惑する方もいるのではないでしょうか。

以下ではドローンスクールとして特に有名な3つのドローンスクールの特徴やお勧めポイントなどを紹介します。

JUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)

JUIDAは国内最大規模の航空局認定管理団体です。2022年12月時点で全国各地に307校の、JUIDA認定が認定するドローンスクールが開校されています。日本国内でもっとも有名なドローンスクールと言っても過言ではありません。

JUIDA認定スクールの講習では、ドローン操縦の技術と安全管理の両面から専門性の高い人材育成を目指しています。

JUIDAが提供するカリキュラムは、座学講習及び実技講習それぞれにおいて基本的な内容を網羅できるよう構成されているのが特徴です。ドローン初心者でも法令の認識漏れを防ぎ、安全に操縦できる技能を習得できます。

JUIDAで取得できる主な資格は、以下の2つです。

  • 無人航空機操縦技能証明
  • 無人航空機安全運航管理者

無人航空機操縦技能証明は、約4日間の講習を通じて、安全な飛行に必要な知識と操縦技能を習得するカリキュラムが組まれています。

一方、無人航空機安全運航管理者は、運航に関わる安全と法律の知識の習得により特化した民間資格で、飛行業務の安全を管理する能力や知識が身につく民間資格です。この資格では、安全運航管理の基本知識とリスクアセスメントも学べます。

資格取得後は、スクールの推薦を受ければ「JUIDA認定インストラクター」の資格も取得可能です。今後の展望としてドローンスクールのインストラクターとして活動したい方には、JUIDAでの資格取得がお勧めです。

DPA(一般社団法人ドローン操縦士協会)

DPA(ディーパ)はドローン操縦の実践的なスキルを重視する、国土交通省が認定したドローンスクールのひとつです。

DPAのドローンスクールとしての大きな特徴は、座学よりも操縦練習となる実技に注力したカリキュラムにあります。DPA認定スクールで提供されるカリキュラムは、ラジコンヘリ操縦の第一人者によって設計されており、受講者は手厚い実践的指導を受けられます。

DPAで取得できる主な資格は2つです。

  • ドローン操縦士回転翼3級:安全なドローン操縦を行うための基礎知識と基本技能
  • ドローン操縦士回転翼3級インストラクター:3級の講習を指導するために必要な高度な知識と操縦技術

DPAの資格は2年間有効で、更新には更新料を支払う必要があります。これは資格保持者の技能維持を促すための仕組みです。

なお、インストラクター資格習得後は「初心者を含む受講生にドローンに関する知識や技能を1から教える責任ある立場を担う」ことになります。そのため、特に実技の熟練度が求められ、資格取得の難易度や受講料が高くなる傾向です。

また、DPAの資格取得者は申請を行うことで、DPA資格取得者専用の「DPAドローン総合保険制度」を無料で利用できます。万が一の事故や損害に対する備えを整えることができ、より安心してドローン操縦に取り組めます。DPA会員には専門セミナーや講演会への参加、書籍購入の特典案内が随時あり、継続的な学習が可能です。

座学だけでなく、実際の操縦技術を磨きたい方にとって、DPAの資格取得は貴重な学習機会となるでしょう。

DJI CAMP スペシャリスト

DJI CAMPは世界最大のドローンメーカーDJIが実施している教育プログラムであり、DJI製品を安全に使用できる操縦者の育成を目指すカリキュラムを提供し、認定者に民間資格を付与しています。

DJI CAMPで取得できる資格のひとつであるDJI CAMP スペシャリストは、DJI製ドローンを安全に運用するために必要な知識、操縦方法、飛行モラル、リスク管理を習得していることを認定する資格です。取得するには2日間にわたる講習を受講し、座学講習・座学試験・実技講習・実技試験に加え、オンラインテストに合格する必要があります。

受講条件は18歳以上で、基本的なドローン操縦経験が推奨されますが初心者でも受講可能です。費用はスクールや地域によって異なりますが、一般的には10万円前後です。

カリキュラムは座学と実技の両方を含み、座学では航空法や安全運用に関する法規、ドローンの基本構造と機能について学びます。実技講習では、基本的な操縦技術から高度な飛行技術までを実践的に学びます。実技講習・実技試験ではGPS(GNSS)が利用できないATTIモードでの操縦が求められる点が他ドローンスクールとは大きく異なるポイントです。

ATTIモードでの操縦はGPSが利用できずホバリング等も不安定になりやすいため、不慣れな方は事前に実技の補習を受講するのがお勧めです。

資格取得後はエアロエントリーで申込み可能なDJI公認ドローン保険の保険料が割引になるなどの特典が利用できるほか、上級の「DJI CAMP インストラクター」資格を目指すこともできます。DJI CAMPスペシャリストはDJI製品の扱いに特化した民間資格ですが、学べる知識や操縦機能は、そのほとんどがメーカーを問わず共通している要素です。

今後DJI製品を使いたいと言う方にはもちろん、難易度の高い実技試験が行われる民間資格を取得し、より高難易度な操縦ができるようになりたいという方にお勧めの資格です。

まとめ:ドローンを始めるのであれば、ドローンスクールで民間資格を取得してスタートを切ろう

ドローンスクールで民間資格を取得

ドローン操縦に民間資格の取得は必須ではないものの、可能であればドローンスクールで座学や実技の講習を受講し、より安全にドローンを運航できる土台を培ってからドローンを飛ばすことをお勧めします。

民間資格は2026年に優遇制度が廃止されますが、車の運転免許と同じように操縦する場合は安全性を確保するのが操縦者の義務です。どうしても独学では安全性の確保の網羅が難しいため、さまざまな観点から幅広く学習できるドローンスクールを利用してみてください。

せっかく購入したドローンで事故を起こしてしまっては、悲しい思いしか残りません。ドローンを操縦している間のワクワク感や、うまく撮影できたときの嬉しい気持ちなどでドローン操縦の思い出が埋まるように「安全性を重視した操縦ができるドローンパイロット」を目指していきましょう。

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この記事を書いた人

1等無人航空機操縦士資格保有

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