【今更聞けない】4K/フルHDのドローン空撮はどんな時に必要?知らないと大損する、画質や用途を左右するドローンスペックも解説!
公開:2024.10.01 更新日:2024.10.03
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ドローン空撮の世界では、4KやフルHDの高解像度での撮影が当たり前になっています。
しかし、これらの解像度の違いや、実際にどのような場面で必要になるのかについて、詳しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
本記事では、それぞれの解像度の特徴や画質・用途に影響するドローンスペックや、それぞれの解像度に適した撮影内容などについて、詳しく解説します。
フルHDや2.7K、4Kなど各解像度の違いは?
解像度とは、数値が高いほど映像が鮮明かつ美しくなる数値を指し、具体的にはフルHD、2.7K、4Kなどがあります。これらを耳にしたことはあっても、違いについての詳細はうまく説明できないのではないでしょうか?
解像度の違いは画質の善し悪しだけではなく、それぞれ長所と短所があります。用途や予算に応じて最適な解像度を選ぶために、各規格の特徴と違いを確認してみましょう。
フルHDとは
フルHD(1920×1080ピクセル)は、高画質映像として最も一般的な解像度の規格です。多くの視聴デバイスに対応しており、Blu-rayディスクや一般的なテレビ放送、スマートフォンでも採用されています。
フルHD、2.7K、4K/6Kの中ではもっとも低画質ですが、フルHDでも十分に鮮明な映像として再生できるため、一般的な視聴環境では十分なクオリティと言えるでしょう。ただし大きいモニターやプロジェクターのような大画面で視聴する場合には、画質の荒さが気になる場合もあります。
データサイズが比較的小さく編集でも扱いやすいのが特徴であり、一般的な用途に限定した場合はストレージやバッテリー消費を抑えた、特にバランスの取れた選択肢といえます。
2.7Kとは
2.7K(2704×1520ピクセル)はフルHDの約1.6倍の画素数を持つ、フルHDと4Kの中間に位置する解像度です。ドローンでの2.7K撮影は景色の細部まで鮮明に捉え、フルHD映像よりも臨場感のある映像を映し出します。
例えばサッカーやスケートなど動きが大きいアクションのスポーツを撮影では、フルHDより滑らかな動きを撮影しやすい2.7Kで撮影される場合が多いです。
2.7KはフルHDよりも高画質である一方、4Kに比べると細かな部分の描写は劣ります。しかし、4Kよりもファイルサイズが小さく扱いやすい特徴も兼ね備えています。そのためフルHDの画質では物足りないけど、4Kほど高画質を求めていない場合にぴったりです。
4Kとは
4K(3840×2160ピクセル)はフルHDの4倍かつ2.7Kの約2倍の解像度を持つ、細やかで美しい映像表現が可能な高画質規格です。映画館などで上映されるデジタルシネマと同等の高画質であるため、特に大画面テレビや高解像度モニターで再生する際に、画質の高さを実感できます。
ドローン空撮で美しい映像表現を求めるのであれば、4Kやそれ以上の高解像度を選択するのがオススメです。
ドローン空撮映像の品質に影響するカメラの主要スペック
せっかくドローンで撮影するなら高画質な映像を撮影したいのではありませんか?しかし4Kなどの解像度はまだしも、カメラのスペックにあるセンサーサイズやISO感度、フレームレート、デジタルズームなどの専門用語の違いが分からないという方も多いです。
高画質な空撮映像を手に入れるためには、ただ高価なドローンを選ぶだけでは不十分です。カメラのスペックが映像にどのような影響を与えるのかを理解する必要があります。
以下では、映像の品質を決めるポイントとなるカメラの主要スペックを解説します。
センサーサイズ/有効画素数
センサーサイズとは、カメラが光を集めるイメージセンサーの大きさを指します。
「カメラの心臓部」とも呼ばれるイメージセンサーは、センサーサイズが大きいほど、一つ一つの画素が大きくなり、より多くの光を取り込むことができます。そしてイメージセンサーが実際に画像をキャプチャするために使用する画素の総数が有効画素数です。
同じ有効画素数であれば、センサーサイズが大きいほうが1画素あたりのサイズが大きくなり高解像度でノイズが少ない映像を撮影可能です。
センサーサイズが小さくても有効画素数を増やせば、ある程度の解像度で撮影はできますが、1画素あたりのサイズが小さくなりノイズが発生しやすくなります。そのため、高画質かつ滑らかな映像を撮影したい場合には、センサーサイズと有効画素数の両方のバランスが重要です。
ISO感度/シャッタースピード
ISO感度とはカメラのセンサーが光に対して、どれだけ敏感に反応するかを示す数値です。
ISO感度の数値が大きいと暗い場所でも明るく撮影できますが、数値を上げすぎると映像にノイズが発生しやすくなります。
シャッタースピードは、カメラのシャッターが開いている時間の長さです。シャッタースピードが速いほど被写体の動きをブラさずに撮影できますが、暗い場所では十分な光を取り込めないため映像が暗くなります。ISO感度を上げると連動してシャッタースピードが速くなるため、暗い場所でも手ブレや被写体ブレを抑えながら撮影可能です。ただし、先述したようにISO感度が大きいとノイズが発生してしまうため、画質を維持できません。
センサーサイズと有効画素数の関係と同じく、適切なバランスを撮影ごとに見つけるのがポイントです。
ビットレート/フレームレート
ビットレート(bps)は「動画1秒に対する総データ量」を意味する動画の滑らかさを決める要素です。bpsは大きいほどデータ量が増えるため、bpsを上げると高画質・高音質の動画を撮影できます。
フレームレート(fps)は「動画1秒で切り替わる画像枚数」を意味します。例えば30fpsは1秒間に30枚の画像が切り替わることを意味し、fpsが大きいほどカクつかない滑らかな動画を撮影可能です。
fpsの数値が高いほど一般的にはフレームレートが高いほど1秒間に表示される画像の数が増えるため、情報量が増えてビットレートも高くなります。しかしこれらは個別に設定できる数値であるため、両方を適切に調整することで高画質で滑らかな動画を作成可能です。
デジタルズーム/光学ズーム
デジタルズームは、撮影した画像の一部を拡大することで、あたかも近づいて撮影したかのような効果を出す機能です。
デジタルズームは画像処理によって拡大するため画質の劣化が避けられず、高画質な空撮映像を撮影したい場合は、あまりおすすめできません。
一方光学ズームはレンズ自体を動かし、実際に被写体に近づいたように撮影する機能です。光学ズームはレンズで実際に拡大するため画質の劣化が少ないものの、高倍率の光学ズームに対応したドローンはハイスペックなレンズが必要なため、低コストで空撮を行いたい場合には向きません。高画質な空撮映像を撮影したい場合は、光学ズーム機能を搭載したドローンでの撮影がオススメです。
動画の用途に合わせて確認しておきたいカメラスペック
高画質な映像撮影に関係したカメラスペックについて先述しましたが、動画の用途に合った撮影が出来るドローンであることも重要です。
ドローンによってはWindowsパソコンで動画を編集できない形式でしか保存できなかったり、ショート動画に適した縦動画を撮影できなかったりする機体も多いです。ドローン空撮を依頼する前に用途ごとに必要なカメラスペックについて理解し、撮影者に自分の用途に適していないドローンで撮影されないようにしましょう。
「16:9」など撮影可能なアスペクト比
アスペクト比は16:9のように横:縦を示す比率で表される、動画の縦横比のことです。
一般的な動画は16:9のアスペクト比が利用されることが多いですが、近年ではInstagramやYouTube、TikTokなどのショート動画のような9:16の縦動画の需要が増えてきています。
多くのドローンは16:9や4:3のアスペクト比で撮影可能ですが、9:16の縦動画を撮影できるドローンはまだまだ少ないです。そのため、ショート動画として投稿したい場合には、縦撮影に対応したドローンで撮影しなければいけません。
なおSNSに投稿する動画として使用する場合には、各SNSごとに推奨されているアスペクト比を事前に調べておきましょう。
「H.264」など対応している動画コーデック
動画コーデックは、動画データを圧縮したり圧縮済み動画データを再生可能な状態に戻したりする際に使われる技術規格のことであり、ドローン空撮では「H.264(AVC/H.264)」が使われることが多いです。
H.264は多くのデバイスで再生可能であり、小さいファイルサイズでも高画質を維持できるのが特徴になります。近年では「H.265(HEVC/H.265)」で撮影できるドローンも増えてきています。H.265はH.264よりも圧縮率が低く、高解像度な映像を使いたい時に適している規格です。
ただし、Twitter(X)ではH.264でなければ投稿出来ないなど、H.265に対応していないプラットフォームもあります。動画を投稿する場合には、投稿先で対応している動画コーデックを事前に確認しておきましょう。
4Kや6Kでのドローン空撮はどんな時に必要?
「せっかくドローンで撮影するなら4Kが良い!」と思う方は多いですが、4K/6Kのような高解像度の映像はすべての場面で必要というわけではありません。
ではどんな時に4Kなど高解像度の映像が求められるのか、代表的な用途を2つご紹介します。
大画面での上映や表示を想定した動画
映画館のスクリーンやイベント会場の大型ディスプレイ、屋外の大型ビジョンなどに映し出す映像は、より高い解像度で撮影された動画が求められます。解像度が高いほど細部まで鮮明に映し出すため、大画面に映し出すならリアルな臨場感を演出したい場合には4K以上で撮影するのがオススメです。
視聴者が臨場感や没入感を捉えられる映像はより強い印象を残すため、映画はもちろん、ドキュメンタリーやCM、展示用映像、VRなど、クオリティにこだわりたい動画は高解像度で撮影することで、映像としての価値や魅力を最大限に引き出せます。
「電子記録」としての用途で撮影する場合
ドローン空撮と聞くとSNS投稿用動画やストーリー性のある動画の撮影を想像しがちですが、例えばスポーツ大会、コンサート、祭りなどのイベントの記録や我が子の成長記録、自然や野生動物の生態記録などにも有効です。
高解像度で撮影された映像は小さな生き物や植物の細部まで鮮明に記録できるため、大切な思い出を動画で残したい場合にも使われます。また、4KであればフルHDの4倍の画素数が含まれているため、映像の一部を拡大したり切り出したりしても、フルHDと同等の画質を維持可能です。そのため、研究・教育分野の電子記録としても4K撮影が活用されるケースが増えてきています。
2.7KやフルHDの動画の用途は?
細部までハッキリとした映像を撮影したい時は高解像度での撮影が向いていますが、SNSに動画を投稿する場合などは、4Kが適していない場合も多いです。例えばInstagramやYouTubeなどのSNSに投稿する動画はフルHDで十分であり、せっかく4Kで撮影しても強制的に圧縮されてしまう場合も少なくありません。
以下では4Kではなく2.7KやフルHDでのドローン空撮が適している用途に多い具体例を、2つご紹介します。
スマートフォンで閲覧する前提の動画
スマートフォン視聴前提で投稿される動画には、4Kほどの高解像度が求められないことが多いです。
スマートフォンはモニター等に比べて画面サイズが小さく、せっかく4Kで撮影してもフルHDとの違いを識別しにくいという特徴があります。また映像と視聴者の距離が近いほど高解像度の効果が減少するため、スマートフォンでの視聴を前提とする場合はフルHDで十分という場合が多いです。
4G/5Gのようなモバイル通信環境では読み込みが遅くなったりデータ容量が不足して視聴できなかったりする場合もあるため、読み込みスピードが4Kより速いという点からも2.7KやフルHDが推奨されています。
InstagramやYouTubeなどSNSへの投稿用動画
Twitter(X)、Instagram、YouTube、TikiTokと動画を投稿出来るSNSはさまざまなものがありますが、4Kに対応しているプラットフォームはごく一部のみです。
YouTubeは4K/8K動画を投稿可能ですが、投稿した解像度に対応していないデバイスでは投稿した高解像度動画として視聴できません。
Twitter(X)は4K動画を投稿・再生できますが、InstagramやTikTokは4K動画を投稿してもフルHDまで圧縮されます。使用するプラットフォームで推奨されている解像度を詳しく確認しておきましょう。
なお、これらのSNSはスマートフォン視聴を前提としています。そのため、スマートフォンでSNSの投稿動画を視聴する分にはフルHDでも十分です。
被写体が動く動画を撮影する時に理想的なドローンのスペックは?
人などの被写体が細かく動く動画を撮影する際には、被写体のブレを抑えるために必要なスペックを搭載したドローンを使用しましょう。
具体的には、以下のようなスペックをオススメします。
- 1インチセンサー以上のセンサーサイズ
大きなカメラのセンサーサイズが大きいほどシャッタースピードを速く設定できるようになり、動いている被写体を撮影する際にブレを抑えやすくなります。 - 4K以上
高解像度な動画は動きのある被写体の細部まで鮮明に捉え、美しい映像を表現できます。 - 60fps以上
大きなフレームレートは動きのある被写体の滑らかな表現に必要不可欠なため、ブレを回避するには60fps以上が必要です。 - デジタルズームではなく光学ズーム機能
デジタルズームは画質の劣化が激しいため避けて光学ズームを使用し、画質の劣化を最小限に抑えましょう。 - 高速かつ正確なオートフォーカス
動きのある被写体にピントを合わせ続けるために、高速かつ正確なオートフォーカス機能が必要です。
マンションの外壁や屋根などを撮影したい時に必要なドローンスペックは?
ドローンでマンションの外壁や屋根などを撮影する場合は、撮影後に細部まで確認できるように解像度と画質にこだわる必要があります。
このようなドローン空撮では、以下のようなカメラスペックを選ぶと良いでしょう。
- 大きいセンサーサイズ
センサーサイズが大きいほど暗い場所でもノイズが少なく鮮明な映像を撮影できるため、日陰に隠れている部分や明るすぎる場所も細かく撮影可能です。 - 4K以上
撮影データの拡大による分析にも耐えられる高解像度が不可欠です。 - 細部撮影は光学ズーム
ズーム機能を使用する場合は拡大しても画質が落ちない、光学ズームを採用しましょう。 - 高速シャッタースピード搭載
ドローンは高所で風により揺れやすいため、揺れの影響時間が短く済む高速なシャッタースピードを使用する必要があります。
まとめ
解像度の違いは単なる画素数の差だけではなく、用途や視聴環境、編集の自由度など、様々な要素に違いがあります。
そして、用途や目的次第では高解像度だから良いとは限りません。ただ高解像度にこだわるのではなく、自分が想定しているクオリティや用途に合ったスペックのドローンを使って撮影する必要があります。
ドローン空撮を依頼する場合は撮影したい映像のイメージや各スペックの要不要を細かく伝え、コストに見合った動画を撮影して貰えるようにしましょう。
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1等無人航空機操縦士資格保有
ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。