ドローン空撮依頼の見積もり項目の詳細は?意外と知らない見積もり内容について徹底解説!
公開:2024.10.03
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ドローン空撮を依頼しようと考えている方の中には、「見積もりの内容が複雑でよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。一見すると難解に感じる見積り項目ですが、一度詳細を理解してしまえば大抵のドローン空撮会社の見積もり内容が理解できるようになります。
ドローンの機種やスペック、撮影場所、必要なスタッフ数など、見積もりの金額を左右する要素は多岐にわたります。本記事では、ドローン空撮の見積り書の内容が分かるようになるための見積もり項目詳細や、実際によくある空撮を例にどんなポイントで見積もり額が変わるのかを解説していきます。
ドローン空撮の料金って何で各社によって違いが出るの?
ドローン空撮会社の料金表や見積もりを見ると「どうして会社ごとにこんなに金額が違うのか?」と思うほど、金額に差が出ます。
見積もり額が異なる理由として、ドローン空撮にはさまざまな要素が混在しており、各社でサービス内容等が異なる背景があります。
まずは、各社でドローン空撮の見積もり額が変わりやすい3つの理由を解説します。
使用する機材の品質の違い
ドローンと一口に言っても販売金額には大きく差があり、新しく高価なドローン機体を使用するほど高品質な撮影ができます。
同じドローン空撮会社でも高価な最新機種を使用する会社もあれば、比較的リーズナブルなドローンを使用する会社もあり、最新機種を使用する企業の料金は高くなる傾向です。これは、ただ高性能な機材を使用しているほかに、維持費、保険料がかかるため料金が高くなりやすいのです。
逆に低価格なドローンを使用している空撮会社は、見積もり額は低い代わりに、画質や飛行性能に制限がある場合があります。
「見積り金額が高い=必ずハイスペックなドローンを使用している」が必ず成立するわけではありませんが、見積り料金が高い理由として使用している機材が高品質な可能性は高いです。
実際に撮影を行う操縦者の熟練度の違い
ドローンの操縦は一見難しくなさそうに見えるかもしれませんが、ドローンパイロットの操縦経験や操縦スキルは空撮の品質に大きく影響する重大ポイントです。
例えば熟練パイロットは、最適な角度とタイミングで撮影できます。カメラワークが安定しており、高品質な映像の撮影が可能です。一方、経験が浅いパイロットの撮影ではカメラワークにブレが生じたり構図が単調になったり、映像の質にばらつきが出ることがあります。
操縦者の育成には時間と費用がかかるため、熟練の操縦者を揃えている会社ほど、見積もりが高くなる傾向があります。ただし、高い技術力を持つ操縦者が撮影することで、クライアントの期待を上回る高品質な成果物を提供できます。
何をどのくらい行うか等の事前準備の違い
ドローン空撮の見積もりには、事前準備の内容も大きく影響します。
例えば許可申請の代行や周辺住民への説明など、撮影に必要な手続きを丁寧に行う会社と最小限の手続きしか行わない会社では、見積もりに差が出るのは当然です。事前準備にはさまざまなことがあり、撮影場所の事前調査、飛行許可申請、撮影計画の作成などの準備次第で撮影の効率性や品質が大きく変わります。
事前準備を入念に行えばトラブルのリスクを減らし、スムーズに撮影可能です。また、クライアントとの打ち合わせを重ねて要望を詳細に把握することで、期待に沿った成果物を提供できます。
事前準備に時間と手間をかける会社ほど見積もりが高くなる傾向ですが、それだけ質の高いサービスを提供できると言えます。
ドローン空撮でよくある見積もり項目の詳細を解説
ドローン空撮の見積もりを見ると、以下のような様々な項目が記載されています。
- 基本撮影料金
- 交通費・出張費
- 飛行許可申請代行費
- 保険料
- 人件費・補助者手配費
- 機材費
- ロケハンティング費
- 日程調整費
撮影の質や安全性、そしてお客様の要望に応えるための重要な要素です。
このセクションでは各項目が何を意味し、なぜ金額に差が生まれるのかを解説します。
基本撮影料金
基本撮影料金は、ドローン操縦士の人件費、機材使用料、撮影に必要な最低限の費用をまとめたものです。この料金には、ドローンのセッティングやディレクション(全体調整)が含まれており、撮影時間、撮影カット数、画質などによって料金は変動します。
一般的には1時間あたりや半日、1日単位で設定されることが多く、撮影の規模や複雑さによっても変動する傾向です。難易度が高い映像撮影を依頼する場合には、経験豊富なオペレーターの技術料が含まれることもあります。
なお、ドローン撮影は法律の規制があるため相談時点で撮影可能かどうかを確認し、必要な手配の概要を調整する業務が発生しやすいです。撮影会社によってはこれらの事前準備料金などが基本撮影料金に含まれることもあるため、相手に含まれる料金を確認しましょう。
交通費・出張費
交通費・出張費は、撮影スタッフが撮影現場までの移動する費用や宿泊費などを合わせた料金です。撮影場所が遠方の場合、交通費や宿泊費が大きく占める割合となり、料金に大きく影響します。
具体的に料金に影響を与える要素としては以下のようなものが挙げられます。
- 撮影場所までの距離: 撮影場所が遠方の場合、交通費が大幅に増加します。
- 交通手段: 車、電車、飛行機など、利用する交通手段によっても費用が異なります。
- 現地での移動費: 撮影現場での移動にレンタカーやタクシーなどを利用する場合、その費用も含まれます。
また、機材の運搬費用も含まれることが多いです。精密機器であるドローンは安全な輸送が必要となるため、専用の輸送ケースやトラックを使用することもあります。
飛行許可申請代行費
飛行許可申請代行費は、ドローン空撮を行う上で必要な国土交通省や自治体への法的な申請の代行費用です。
依頼内容に応じて異なる飛行許可申請が必要なため、以下のような点で金額が上下します。
- 申請の難易度: 申請する地域の制限の厳しさや、申請に必要な書類の量によって、申請の手間が変わり、料金も変動します。
- 申請件数: 複数の場所で撮影を行う場合、申請件数が増えるため、料金も高くなります。
日本国内でドローンを飛行させる場合、基本的には国土交通省に申請が必要です。この申請プロセスは複雑で時間がかかるため、専門知識を持つスタッフが代行します。
なお撮影場所によっては国土交通省以外からの許可を取得しなければいけない場所が多いのも、料金が上下しやすい理由の1つです。
保険料
保険料は、ドローン操縦中の事故や第三者への損害賠償、機材の破損など、万が一の事態に備えるための費用であり、基本料金に含まれていることも多いです。保険料の金額は撮影の規模や場所、使用する機体などによって変動しやすく、高額な機材を使用する場合や、リスクの高い環境での撮影で高くなることがあります。
通常、ドローンに関する保険は対人・対物賠償責任保険と機体損害保険の2つがメインです。
- 機体損害保険:ドローン自体の損傷や紛失に対して補償する保険
- 対人・対物賠償責任保険:ドローンが第三者や他人の財産に損害を与えた場合に補償される保険
ドローンはそこまで大きくないサイズでも、人間に衝突すれば人命を奪いかねない機械です。そのため、万が一の事態に備えて必ず含まれるべき費用です。
人件費・補助者手配費など
人件費・補助者手配費は、撮影現場で必要な人員に伴う人件費です。
一般的には以下のように役割を分担して撮影を行うことが多く、撮影内容や規模感によって調整されます。
- ドローン操縦者: ドローンを操縦するパイロット
- 補助者:航空法の観点から安全確保に必要な人材であり、必要な人数×補助者への報酬額で換算されることが多い。
- 安全管理者:操縦者とは別に、撮影全体の安全確保のために手配される人材。
- その他スタッフ: 必要に応じて、カメラの操作、機材の運搬などを行うアシスタントや照明スタッフ、音響スタッフなど、他のスタッフを手配する場合がある。
人件費・補助者手配費は専門的な知識や経験が必要なスタッフが必要な撮影の場合、人件費が高くなることが多いです。また、必要な作業時間の多さによっても変動します。
機材費
機材費は、ドローン本体、カメラ、ジンバル、バッテリーなど、撮影に必要な機材の使用料や維持費用です。
4K・8Kカメラが搭載されたドローンや特に安定性が必要な撮影に適した機体など、高価な機材を使用する場合は撮影内容に応じて機材が高くなります。
そして、ドローンはバッテリーが切れるごとに交換が必要です。撮影時間が長い場合は予備バッテリーを多く確保する必要があるため、バッテリー使用費や屋外でも使用出来るバッテリー充電器の機材費などが含まれることもあります。
また、ドローンの操縦に影響を及ぼす可能性が高いほどの暑さや寒さが予想される時期・場所で撮影する場合には、万が一を想定して予備機を準備して撮影することも多いです。この場合には予備機の準備代も機材費に含まれます。
ロケハンティング費
ロケハンティング(ロケハン)費は、実際の撮影前に行う現地調査にかかる費用です。基本的にロケハンティング費は、以下のような点で金額が決まります。
- 交通費: 撮影場所の下見に要する交通費
- 宿泊費: 遠方でのロケハンの場合、宿泊費が必要となることがあります。
- 人件費: ロケハンを行うスタッフの費用であり、通常、ドローンパイロットや撮影ディレクターが参加することが多いです。
- 実施回数:難易度が高い撮影の場合などは複数回のロケハンを行う必要があります。
日程調整費
日程調整費は、撮影日程の調整や、スケジュール管理にかかる費用です。ドローン撮影を実施できる条件は一般的な撮影よりも厳しく、例えば撮影を予定していた当日に晴れていても明らかに風が強い場合にはドローンが飛行出来ないためリスケしなければいけません。
その他にも関係者の人数やスケジュール、天気予報から想定できる当日の天気、日照条件、許可申請の進捗状況、機材や人員の確保、雨天時に備えた予備日の設定など、多くの要素を考慮しながら最適な撮影日を設定する作業に対する料金として日程調整費が設けられることが多いです。
また、日程調整費に季節や時間帯ごとの対応費が含まれることもあります。例えば夜間・早朝など特定の時間帯での撮影は通常よりもスケジュール調整が難しくなるため、追加費用が発生しやすいです。
ロケハンでは撮影場所の安全性や最適な撮影ポイント、ドローン飛行に影響を与える障害物や電波状況等周辺状況、気象条件などを確認します。複数回のロケハンが必要な場合や、遠方での撮影の場合は費用が高くなる傾向です。
見積もり額変動ポイント①:撮影内容ごとに異なる、適したドローンのスペック
一口にドローン空撮といっても、撮影の目的や映像の用途によって必要な性能は大きく異なります。ここでは2つの撮影パターンを例に、撮影内容に応じて適切なドローンを選ぶことで、見積もり額がどのように変動するかを詳しく解説します。
パターン①:VLOGなどに投稿するような一般的な動画を撮影する場合のドローン
SNS等に投稿する動画やYouTubeに投稿するVLOG、会社紹介等の動画であれば、4Kのような高解像度は必要ありません。ただし、手ブレ補正機能や障害物回避機能が搭載されているような機種を選ぶのが理想的です。
具体的には、以下のようなスペックのドローンで十分です。
- 画質: 4Kは不要であり、フルHD(1080p)から2.7K程度程度の画質で十分。
- 飛行時間: 20分程度の飛行時間が確保できれば、十分な撮影が可能。
- 価格: 比較的安価なモデルが多く、個人でも導入しやすい価格帯。
映像に高画質を求める必要が無い場合はハイコストな4Kカメラ搭載ドローンを使用せずに済み、機材費が抑えられます。そして撮影の難易度が低く高度な技術を持つパイロットを必要としないため、見積もりが安価になりやすいです。
パターン②:映画やドラマのように臨場感溢れる動画を撮影する場合のドローン
ドラマや映画のような臨場感のある映像を制作する場合は、高画質でダイナミックな映像が求められます。そのため、高解像度撮影や編集しやすいRAW形式等での撮影に対応した、以下のようなドローンを使用するのが理想的です。
- 画質: 高画質で滑らかな映像を撮影するため4Kまたは6K。
- 飛行時間: 長時間の撮影に対応するため、最低でも30分以上。
- 価格: 高価なモデルが多く、100万円以上で販売されていることも多い。
パターン②のような撮影をする場合は高額な機体に加え、各シーンに適したレンズ等のオプション品を使用するため、見積もりが高額になりやすいです。
高度な操縦技術が必要なため経験豊富なパイロットの人件費も高くなり、重量が重いため厳格な許可申請手続きの必要性に伴って、飛行許可申請代行費も増えます。しかしその分、圧倒的な映像品質と表現力を得られるため高品質な映像撮影には欠かせない料金です。
見積もり額変動ポイント②:実際の空撮時に手配するスタッフ数や人材の質
撮影に使用するドローンのスペックだけではなく、必要なスタッフの数と質でも見積もり額は異なります。撮影内容によっては、経験が浅い操縦者でも問題ない場合も少なくありません。
以下では、飛行難易度は低いものの通行人管理が必要なパターン①と、飛行難易度が高めな工事現場でドローンを飛行させるパターン②の2つにおいて、それぞれで必要なスタッフの要件について解説します。
パターン①:海辺など周辺に障害物は少ないものの通行人が一定数想定される状態で実施する目視飛行の場合
海辺など、周辺に障害物が少なく、海辺などの周辺に障害物が少なく視界が開けている場所での飛行は、比較的安全に行える可能性が高いです。しかし通行人がいる場合は安全確保のため一定のスタッフ数が必要になります。
そのため、以下のようなチーム編成が必要と考えられます。
- ドローン操縦者:操縦担当
- 撮影アシスタント:カメラ操作や撮影指示を担当
- 補助者:通行人の安全確保のための交通整理と注意喚起を担当
撮影の規模によりますが、海辺のようにあちこちから通行人が現れる可能性がある場合は補助者が最低でも2名は必要です。
目視飛行かつ障害物が少ない飛行のため、複雑なカメラワークを求める撮影でなければ経験が浅い操縦者でも問題ありません。
そのため、パターン①のようなケースでは比較的見積もり額が低コストで収まりやすいです。
パターン②工事現場のように見通しが悪い場所で操縦者が機体を視認できない状態で飛行する場合
工事現場の場合は通行人こそ通らないものの、重機が不規則に行き交う中で撮影することになります。また、工事に使用するブルドーザーなどの重機や機材は金属製のため、ドローンを操縦するための電波に影響を及ぼし、安定した飛行に支障が出る可能性が高いです。
このような状況であれば、チーム編成は以下のようになるでしょう。
- ドローン操縦者:操縦担当
- 撮影アシスタント:カメラ操作や撮影指示を担当
- 補助者:各地で操縦者が視認出来ない機体の状況確認や安全確保を担当
- 現場担当者:工事監督とのやり取りや重機等の移動共有を担当
工事現場の広さ次第ですが、操縦者が機体を目視できない状況かつ電波干渉の影響を確認する必要があるため、パターン①よりも多めの補助者が必要です。加えて、工事の進行を邪魔しないため、現場監督とスケジュールや撮影場所について相談する人材が必要です。
このような場合は全てのスタッフに高度な技術と経験が求められるため、人件費が大幅に上昇します。
そのため、見積もり額はパターン①と比べて大幅に高額になりやすいです。
ドローン空撮の見積もりは内容が分かれば難しくない
ドローン空撮の見積もりは複雑に感じやすいですが、一度見積り項目の詳細や内訳を理解してしまえば、大抵のドローン空撮会社の見積り内容を理解出来るようになります。
複数のドローン空撮会社から見積りを取る際は、自分が撮影したい内容に適したプランを選択するために、複数のドローン空撮会社から見積りを取り、比較検討するのもオススメです。
見積もりを見る際には単に金額だけでなく、それぞれの項目が何を意味しているのかをしっかりと理解することが重要です。そして、各社によって見積り項目に何を含むかの詳細が異なるため、不明点は必ず相手に確認するようにしましょう。
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1等無人航空機操縦士資格保有
ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。