ドローンの事故は防げる?撮影依頼する制作会社に確認したい安全対策を徹底解説!

公開:2025.01.06 

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ドローン事故を防ぐために安全に作業するシーン

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ドローンで撮影した映像をプロモーションに使いたいと考えて、制作会社にドローン空撮を依頼する件数が年々増えてきています。しかし依頼側としては、ドローン撮影のリスクを事前に把握しておきたいですよね。

ドローン撮影の最大のリスクは「ドローンの衝突や落下等による事故」があります。事前に信頼できる制作会社が分かれば良いのですが、どの制作会社がもっとも安全に撮影してくれるかは分かりません。

本記事ではそんな方に向け、ドローン撮影を依頼する際に制作会社に確認しておきたい、安全対策について詳しく解説します。

そもそもドローン飛行中の事故ってどういうもの?

ドローンの事故の対象は人、電線、建物、車両、田畑への落下などです。そもそも、どのような事態を「事故」と呼ぶのか。実際に航空法における事故の定義から解説します。

航空法では「事故」と「重大インシデント」に区分される

ドローンを含む無人航空機による事故は航空法で具体的に定義されており、事態の深刻度に応じて「事故」と「重大インシデント」に分類されます。

事故に該当するのは、以下3つのトラブルです。

ドローン飛行中に発生しうる事故の航空法における定義

– 無人航空機による人の死傷(**重傷以上**の場合)
– 第三者の所有する**物件の損壊**
– 航空機との**衝突または接触**

重大インシデントは事故ほど深刻ではないものの、状況次第では事故に発展しかねなかった事態です。

重大インシデントは主に無人航空機自体の問題で発生する事態が該当することが多く、以下の4パターンが該当します。

ドローンの航空法における重大インシデントの定義

  • 無人航空機による人の負傷(軽傷の場合)
  • 無人航空機の制御が不能となった事態
  • 無人航空機が飛行中に発火した事態
  • 航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた

事故が発生した場合も、負傷者がいたら応急処置を行い、救急車を要請する作業を行います。

ドローン飛行中に事故が発生した時、依頼者に責任はある?

ドローンの空撮中に事故が発生した場合、責任は操縦者が負うことになります。操縦ミスや注意義務の怠りによって発生した場合、依頼者が責任を負うことは多くありません。

操縦者は航空法に基づいて安全に飛行させる義務があり、事故による損害賠償や法的責任も操縦者に課されるのが通常です。

ただし、依頼者にも責任が発生する可能性があるケースがあります。

  1. **技能不足と分かっていて操縦者を選任した場合:**依頼者があらかじめ操縦技量が不足していると分かった上で操縦者に飛行を依頼した場合、適切な選任義務を怠ったとみなされることがあります。
  2. 商用契約における特殊な条項:契約書に特定の安全義務や責任分担が明記されている場合、依頼者も一部の責任を負う可能性があります。

これらの場合には依頼者にも責任が及ぶ可能性があるため、依頼者は信頼できる操縦者を選び、安全な飛行が行われるよう依頼者側も意識することが重要です。

今まで実際に発生したドローン飛行中の事故事例3選

国土交通省はより安全にドローンを運航できるよう、各年度ごとに報告があった事故や重大アクシデントの事例をまとめ、公開しています。具体的な事故事例を把握することで、ドローン撮影を依頼する企業に安全対策の確認ができます。

操縦者のスキル不足により発生したドローン事故事例

そもそも操縦者の操縦技量や経験など、操縦に必要な技能不足で発生する事故は多々あります。

例えば、令和5年中では以下のような事故・重大インシデントが発生しました。

  • 令和5年10月19日:飛行訓練中に操縦者が操作を誤り、機体が講師の鼻に接触し鼻頭を切創(軽傷)
  • 令和5年8月25日:ドローンで農薬散布中に操作を誤り、想定していた飛行範囲を逸脱。付近の建屋に衝突し、窓ガラス及び外壁が損傷。人の死傷等はなかったものの、ドローンは損傷。

技量不足と分かっていて操縦者を選任した場合は依頼者に責任が生じる可能性があり、経験の浅い操縦者の採用は「事故発生の可能性が高い」です。

ドローン撮影を依頼する場合、制作会社には操縦担当者がどのくらい操縦経験があるのかなどを確認しておくのが良いでしょう。

撮影チーム間でのコミュニケーション不足により発生したドローン事故事例

令和5年12月25日には、住宅設備のドローン点検時に車両に接触し、車両を破損される事故が発生しました。

ドローンの飛行中はより安全に飛行できるよう、障害物の確認や第三者対応を行う「補助者」を原則として配置する必要があります。

補助者の役割を解説した図解

当事故は、ドローンを降下させる段階で補助者が操縦者に対して「直下に車両があるので、着陸位置を変更せよ」と指示を出せば事故は発生しなかった可能性が高いです。

依頼会社の事前準備アイテムもぜひチェックしてください。

ドローン飛行前の準備・確認の不足により発生した事故事例

令和5年7月11日には、空撮のため飛行中だったドローンとの通信が突然途切れて制御不能になり、周辺家屋の屋根に落下する損壊事故が発生しました。

ドローンの機体不良が原因と考えられますが、実際は使用していたバッテリーの経年劣化が原因である可能性が高いと推察されています。

依頼する際には、ドローン機体の管理体制も確認し、制作会社がどのようにバッテリーを扱っているかも確認すると良いでしょう。

安全なドローン撮影を依頼したいなら要確認!安全対策チェックリスト

依頼前の質疑応答で、その制作会社にドローン撮影を依頼しても大丈夫か否かを判断するためにも、以下の点を確認してみるのがオススメです。

事前のロケハンではどのような点をチェックしているのか

制作会社によってロケハンでのチェック点は異なりますが、筆者の場合は以下の点をロケハン時に確認しています。依頼を予定している制作会社の確認内容が気になる場合は、チェックシート等を共有してもらうのがオススメです。

  • 飛行予定経路直下での第三者や車両の往来
  • 飛行ルート内に飛行の障害となる地形や建造物、電線などは何処にあるか
  • ロケハン時には居なくとも、飛行経路付近で人や車両の立ち入る可能性がある場所の有無
  • 実際にロケハンで定めた飛行経路において、補助者を何処に配置するか
  • 離着陸の場所や万が一トラブルが発生した際の緊急着陸場所は何処にするか

撮影チーム間で障害物などはどのように事前共有されているのか

ロケハン確認事項について解説した図解

撮影チーム全体の「情報共有できている割合が高い」ほど、事故防止できる傾向です。

例えば、補助者の社内手配が難しい場合は1日バイトで外部の人間を補助者にする制作会社も少なくありません。事故を未然に防ぐための確認事項として、どのように撮影チーム全体に情報が共有されているかの確認も行いましょう。

事故発生時のために保険は加入しているか、どのような補償内容なのか

ドローンの保険は任意加入です。個人で受注しているドローン空撮者には保険未加入の方も少なくありません。制作会社であれば基本的に損害賠償保険や機体保険に加入している場合がほとんどですが、念のため保険加入状況は確認しておきましょう。

筆者せりぽよは過去に2社の損害賠償保険に加入していましたが、そのふたつの間でも保険の詳細は大きく異なっていました。

ドローン空撮で使用する必要資料

ドローン空撮で使用する必要資料

2つの保険に関する画像を比べると、補償される内容だけではなく、補償される上限額や自己負担額も異なることが分かります。制作会社に保険加入状況を確認する場合は、ただ加入しているかだけではなく、どのような保険に加入しているかの詳細も確認すると良いでしょう。

当日の飛行準備時から事故防止のために実施していることはあるか

事故防止のためにも、筆者の場合は以下の取り組みを行なっています。

  • 操縦者や撮影チームの衣服や持ち物は怪我をしないようにルールを決めている。
  • 航空法で定められている事前点検の項目にはないが、使用するバッテリーの状態が適切に整っているかなどをモニター上で確認する。
  • 撮影モードやドローンの進行方向などを変更する際は、操縦者が口に出して何をするか確認として共有するようにしている。
  • ドローンを操作している操縦者と補助者は無線などを利用してリアルタイムにやりとりする。

具体的にどのような取り組みを行うかは制作会社ごとに異なりますが、飛行当日にどのような安全対策を行っているかを確認するのがオススメです。

これまでの実績はどのような事例がどのくらいあるのか

ここまでは具体的な安全対策や注意している点などの確認事項をお伝えしましたが、特に肝心なのは制作会社が今までどのような飛行実績を積んできたのかです。

一口にドローン空撮に特化している制作会社と言っても、例えば以下のようにさまざまな制作会社が存在します。

  • 建物や、不動産物件、観光地など建造物が被写体な空撮を得意としている場合
  • 手のひらサイズのマイクロドローンを使用して臨場感溢れるルームツアー動画等の撮影を得意としている場合
  • 田畑や自然などの景色や魅力などをアピールする撮影を得意としている場合
  • 「ドローン」を使う撮影であれば幅広くジャンルを問わず撮影に対応している場合

撮影実績はホームページや制作会社のYouTubeに掲載されている映像のほか、契約内容の兼ね合いで制作会社の撮影実績としてインターネット上には公開できない実績がある場合も多いです。より多くの撮影実績を確認したい場合は、制作会社に問い合わせてみましょう。

ドローン撮影を依頼するなら、安心して任せられる制作会社に

ドローンによる撮影は、地上撮影の映像とは異なる魅力を引き出す新しい撮影方法です。しかし、飛行中のドローンは高速で動くプロペラを搭載した機械であり、人や建造物などに衝突したら傷害を負わせてしまう可能性が高い機器でもあります。

事故や重大インシデントは「うっかり」「経験不足」「確認不足」などで生じやすいため、必ず予防することはできません。

それでも、今まで無事故でドローン撮影を行い続けている制作会社は存在します。事故を未然に防ぐには、細かな安全対策が不可欠です。ドローン撮影を依頼する際に「万が一のトラブル」が発生した時の心配がある際は、撮影を依頼している制作会社に安全対策について確認し、不安のない状態で撮影を依頼しましょう。

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この記事を書いた人

1等無人航空機操縦士資格保有

ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。

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