ドローンの撮影を依頼する場合の注意点は?仕事依頼前に知っておくべき確認事項をまとめて解説!
公開:2025.01.06
ドローン空撮事業者
飛行
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ドローンの撮影を依頼する際は良い制作会社を選び抜くのも大切ですが、意外に抜けがちなのが制作会社への情報共有。
実は制作会社に情報共有をする段階で、依頼者側にも注意点があるのをご存じでしょうか?
注意点を知らなかった場合、以下のようなトラブルが発生してしまう可能性があるんです。
- ある程度は法令を把握しておかなければ実施できない飛行を依頼してしまう。
- 申請手続きに時間がかかることを知らず依頼し、希望の納品スケジュールまでに映像が完成しない。
- 依頼者側で情報を整理できておらず、依頼してから情報が錯綜してしまい納品が遅れる。
- 共有する情報が不足していたため、イメージとは全然違う映像になってしまう
これらのトラブルを回避するためにも、依頼者側が知っておきたい注意点をお伝えいたします!
本記事では依頼前に言語化しておきたい依頼内容を質問形式で公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
ドローンの撮影依頼で気をつけておきたい5つの注意点
ドローン撮影の依頼で注意したいポイントは以下の5つです。
- 100%任せきりではなく、自分達も守るべき法令の基本を把握しておく
- 依頼する映像の用途などはなるべく具体的に共有する
- 強調したいポイントや演出は参考映像等をなるべく添えて共有する
- 撮影場所や時間帯は法的な規制が多いためなるべく早く伝える
- プライバシーや情報の保護に関する対応を確認しておくこと
ドローンの撮影を依頼する際の注意点①:100%任せきりではなく、自分達も守るべき法令の基本を把握しておく
ドローンは扱い方を間違えれば傷害や事故につながる恐れがある機械です。そのため、万が一のトラブルが発生しないよう、航空法を始めとするさまざまな法令を遵守しなければいけません。
依頼側が法令対応について知る必要はないと思う方も多いでしょう。しかし、自分達がイメージしている映像は法令に違反しなければ撮影できない映像かもしれません。
実際の判断は制作会社が行いますが、事前に撮影可否をある程度判断できるよう、依頼者側も遵守すべき法令の基本を抑えておきましょう。以下それぞれのセクションでは、各法令で知っておきたい基本をダイジェスト形式で紹介します!
航空法
- 一部の地域や飛行方法を除き、ドローンは原則として国土交通省の許可・承認無しで飛行出来ません。
- 夜間に行う飛行や、操縦者とドローンの距離が離れすぎて視認出来ない状態での飛行、人や車両等の物件と30m以上の距離を取れない飛行は承認を得なければいけません。
- 「包括申請」という日本全国何処でも最長1年間飛行出来る許可承認を受けている場合、申請時のルールを守れば自由に飛行可能です。
- ただし、包括申請を取得していてもイベント上空や空港等周辺、夜間の人口集中地区で操縦者が機体を視認せず行う飛行などは別途、飛行場所を指定して許可承認を得なければいけません。
- 国土交通省に新規で申請する場合、許可承認を取得出来るまで2週間程度かかります。
小型無人機等飛行禁止法
- 空港、国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居、防衛施設等の重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域上空では、ドローンの飛行が禁止されています。
- 対象施設の管理者やその同意を得た者による飛行や土地所有者の同意がある飛行は例外として許可されます。
- ただし、自衛隊施設や空港等においては対象施設の管理者やその同意を得た者による飛行しか許可されません。
自治体の条例や飛行場所における規制
公園や河川敷は都道府県や市区町村の条例でドローンの飛行を禁止している場合が多いです。例えば、自治体ごとに以下のような条例があります。禁止されている場所であっても、管理者に許可申請をすれば飛行可能な場合も少なくありません。
- 東京都千代田区:区立公園におけるドローンの飛行は禁止。
- 静岡県沼津市:市営漁港区域において、占用許可に係わる土地等に立ち入ってはならないため、ドローン飛行時は事前に確認する必要がある。
- 神奈川県相模原市:藤野やまなみ温泉の敷地内において、ドローンの飛行は原則禁止
ドローンの撮影を依頼する際の注意点②:依頼する映像の用途などはなるべく具体的に共有する
依頼する映像の用途を具体的に共有することで、クオリティの高い映像に仕上がる可能性があります。
納品する映像はどのような用途で使用する予定か
建物のプロモーションに使うのか、建設完了記念としての記録映像にするのかなど、ドローンで撮影した映像の用途はさまざまです。用途に応じて撮影方針が異なるため、用途は細かく共有しましょう。
また、配信する方法やプラットフォームも多種多様なため、適した解像度やサイズなどでなければイメージ通りに使用できない場合もあります。
ドローンで撮影する場合は最適な解像度や撮影方法を選定できるよう、配信方法の希望も詳しく伝えるのが理想的です。
撮影した映像の用途や使用する目的を言語化する質問
- 最終的な映像の使用目的は何ですか?(例:プロモーション、記録、監視など)
- 特定のイベントやキャンペーンで使用する場合、その詳細を教えてください
- この映像をどのようなメディア(テレビ、オンライン、イベントなど)で使用する予定ですか?
- この映像はどのような配信方法や視聴方法を想定していますか?
- 配信方法:テレビ、インターネット、イベントなど
- デバイス:スマートフォン、PCなど
- プラットフォーム:YouTube、Instagram、X(Twitter)、Facebook、Tiktokなど
映像を通じて伝えたいメッセージや用途について
ドローンで撮影されたプロモーション映像はさまざまな映像がありますが、すべての映像が1本の映像だけで構成されている訳ではありません。
固定の角度や高さでは撮影できる演出が限られてしまうため、撮影当日は撮影対象を角度や高度、強調して撮影する部分を変えて撮影した複数の映像から抜粋した一部を編集で組み合わせることも多いです。
依頼者が伝えたいメッセージやコンセプトに応じて映像全体の雰囲気が異なるため、納品された映像で何を伝えたいのかを言語化して共有しましょう。
ドローンで撮影した映像を通じて伝えたいメッセージ等を言語化する質問
- 映像全体で最終的に伝えたい情報やメッセージやコンセプト、ブランドイメージ等はありますか?
- 映像の構成としてのストーリーはありますか?
- 映像全体の流れやシーン遷移について、どのようなイメージを持っていますか?(例:ストーリー性を持たせたい、一貫したテーマを持たせたいなど)
- この映像は誰に見て欲しい、または誰に向けた映像ですか?
- 映像からどんな感情や雰囲気を感じてほしいですか?
- 映像視聴後、視聴者に起こして欲しいアクションはありますか?
ドローンの撮影を依頼する際の注意点③強調したいポイントや演出は参考映像等をなるべく添えて共有する
例えばミュージックビデオひとつでも強調する内容が曲の世界観やアーティスト、歌詞など映像によって異なるように、制作会社のドローン撮影も強調したいポイント次第で撮影内容が大きく変わります。
そのため、ただ「○○のプロモーションに使う映像」とだけ伝えるのではなく、具体的に何を強調したいのかは必ず伝えましょう。
また、ドローンはカメラ移動するだけではなく拡大率やレンズの角度も調整可能です。斜め上から引きで撮りたいのか、それとも上空から近付いていきたいのかなどの希望も伝えられると、制作会社もより理想に近い撮影をしやすくなります。
映像で強調したい点や演出等を言語化する質問
- 撮影対象の最も魅力的なポイントは何だと考えていますか?
- どの部分を特に強調したいですか?
- 対象の全体像と、特に注目してほしい詳細部分はどこですか?
- 視覚的にインパクトを与えたい部分や強調したいポイントや角度はありますか?
- 上空からの俯瞰映像が必要ですか、それとも人物や物に近づく映像がほしいですか?
- 各シーンの長さや展開速度について具体的な希望はありますか?
- どのような雰囲気の映像を希望されていますか?
- 動きのあるシーンと静止したシーンのどちらを求めていますか?
イメージしてる映像の参考資料を整理する質問
同じように強調したいポイントを伝えても、受け取り手によって解釈が異なりやすいです。
そのため、実際依頼者がどんな風に撮影して欲しいのかを具体的に伝えられるよう、なるべく参考資料は充実させるようにしましょう。
YouTubeやSNSの投稿を参考資料にする場合は、投稿のリンクをシェアした上でどのような点を参考にして欲しいのかを共有するのがオススメです。
- イメージに近いYouTubeの動画やSNSの投稿、写真などはありますか?
- 参考に提供頂いた映像で、特に気に入っているシーンはありますか?どんな点が気に入りましたか?
- 資料の中で取り入れたい撮影アングルや角度、撮影手法や編集などはありますか?
- 競合他社の映像で気に入っているものはありますか?
- 簡易的にでも絵コンテなどを作成頂くことは可能でしょうか?
ドローンの撮影を依頼する際の注意点④撮影場所や時間帯は法的な規制が多いためなるべく早く伝える
ドローンはとにかく法令規制が多く、航空法を始めとしたさまざまな法令に対応しなければ利用できません。
そのため、今まで挙げた中でも特に撮影場所や撮影を希望する時間帯についてはなるべく詳しく希望を伝えましょう。
ドローン撮影を希望する場所を言語化する質問
撮影場所の人口が多い場所と指定されている場合、航空法に従い飛行許可を取得する必要があります。
また、撮影したい場所が関係者以外の方が管理する私有地の場合や山や海、港、公園などの場合は撮影希望地の管理者から使用許可を得なければいけません。
場所によっては「撮影○日前までに書類を提出」などの要件がある場合も多いため、理想のスケジュール通り撮影するためにもなるべく細かく情報を共有するのがベストです。
- 撮影したい場所の住所が分かれば、具体的に教えて頂けますか?
- 撮影したい場所や対象はご依頼者様や関係者の方が管理・所有していますか?もし違う場合は、管理者の方をご存知でしょうか?
- 撮影対象は建物、自然、イベントなど、どのようなものですか?何を中心に撮影したいですか?
ドローン撮影を希望する日時や時間帯を言語化する質問
ドローン撮影は原則日中のみとなっており、早朝や夜間に撮影をする場合は別途申請をしなければいけません。
また、晴天の時に限り撮影を希望するなど、天気の指定がある場合などは撮影日の調整や前日確認の基準がシビアになります。制作会社が撮影日を判断しやすいよう、日時や天候の希望がある場合は早めに伝えておきましょう。
- 撮影希望日はいつ頃をご希望ですか?
- 早朝や夕暮れなど、撮影したい時間帯はありますか?
- 希望する天候条件はありますか?
ドローンの撮影を依頼する際の注意点⑤プライバシーや情報の保護に関する対応を確認しておくこと
ドローンは手軽に空中の写真や映像を撮影できる反面、偶然であっても知らない方のプライバシーを侵害してしまったり、情報漏洩に繋がってしまったりするリスクがあります。
そのため、ドローン撮影を依頼する際は制作会社がどのようにプライバシーを保護したり、情報管理をしていたりするかを確認しておくのがオススメです。
ではまず、歩気がなくともプライバシー侵害につながる恐れがある情報とはどのようなものがあるかを解説します。
ドローン撮影で映り込んでしまう可能性がある個人情報とは?
広大な私有地で関係者以外は立ち入り禁止のような環境で撮影する場合を除き、ドローンで撮影を行う際は常に個人情報を撮影してしまう可能性があると考えてください。
映り込んでしまう可能性がある個人情報としては、以下のようなものがあります。
- 個人を判別判別できる状態での顔
- バルコニーで干してる下着等の洗濯物
- 各住宅に着いている表札等に記載されている苗字や住所
- 車両のナンバープレート
- 露天風呂やプールなどを利用している方の様子
せっかく魅力的に撮影できた映像でも、第三者のプライバシーを侵害している映像であった場合は個人情報の持ち主から投稿削除の要請を受けたり、最悪の場合はプライバシー侵害や肖像権の侵害で起訴されてしまう恐れがあります。
プライバシー侵害の予防体制はどうなっているか?
ドローンの操縦者は撮影中、常に個人情報が映りこまないようカメラのアングルや角度などを調整することがほとんどです。
しかし、操縦者がどれだけ注意を払っていたとしても、第三者がタイミング悪くカーテンを開けた時や、偶然カメラの方を向いてしまい顔が映り込んでしまうケースは珍しくありません。
このような場合は撮り直しをするか、撮り直さず撮影した映像に映り込んだ個人情報にボカシ処理などの加工を施すかのどちらかで対処する必要があります。
もちろん、操縦者が気づかぬ間に、個人情報が映像に映り込んでしまう可能性も高いです。
基本的に撮影した映像は、制作会社がプライバシーの侵害がないかなどを細かく確認し、必要に応じて保護するための処理を行います。
しかし、制作会社のスタッフも人間です。自分では100%個人情報保護できたと思っていても、隠しきれてない個人情報があるかもしれません。
編集が完了した映像が仮納品された場合は、依頼者側でも個人情報の侵害がないかを念入りに確認しましょう。
ドローンの撮影依頼前に確認すべきポイント
ドローン撮影を依頼する際には、いくつかの重要なポイントを事前に確認することで、安心してサービスを利用できます。以下にそのポイントを詳しく説明します。
実績の確認
まず、依頼を検討している会社の実績を確認しましょう。
具体的には、これまでのドローン操縦経験や撮影実績、JUIDAやDPA、ドローン協会などへの加盟状況、操縦者が保有している資格などが挙げられます。
これらは、各制作会社がどれだけドローン空撮において信頼に足るかを判断する重要な指標となります。
ホームページでの情報収集
次に、会社のホームページを訪れて、会社規模や提供しているサービス内容を確認します。
大規模な会社であれば多くのリソースと経験を持っていることが多いですが、小規模な会社でも専門性や柔軟性に優れている場合があります。
自分のニーズに合った会社かどうかを見極めるために、ホームページの情報は必ずチェックしておきましょう。
口コミやレビューの確認
可能であれば、過去の顧客による口コミやレビューも参考にしましょう。
これらは実際にサービスを利用した人々の声であり、会社の対応や撮影品質について貴重な情報を提供してくれます。
ただし、一部の口コミは主観的である可能性もあるため、多角的に評価することが大切です。
電話でのコミュニケーション
最後に、直接電話で問い合わせることで、その会社の対応力やコミュニケーション能力を判断できます。
電話でのやり取りから、スタッフがどれだけ親身になって対応してくれるか、また質問に対して迅速かつ適切なリアクションがあるかなどを確認しましょう。
これらのポイントをしっかりと確認することで、自分に最適なドローン撮影サービスを選ぶことができ、安心して依頼することができます。
まとめ:ドローンの撮影依頼前に言語化(具体的なイメージ・内容)で詰まったら制作会社に相談を
ドローンの仕事を依頼する際の注意点について解説しました。
依頼する側としては、頭の中にあるイメージを上手く言語化するのは難しいと思う方も多いでしょう。
イメージしているものを上手く言葉に出来ず悩むかもしれませんが、すべてを言語化しなければ依頼してはいけない訳ではありません。
制作会社は曖昧なイメージの解像度を上げてどのような映像を撮影すべきかに落とし込むプロです。
上手く言語化できないと感じたら、全部を言語化できるまで粘るのではなく、ある程度言葉にできた状態で制作会社に相談してみてください。
記事一覧に戻るこの記事を書いた人
1等無人航空機操縦士資格保有
ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。