ドローンの国家資格とは?取得するメリットから取り方まで詳しく解説
公開:2024.09.14
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自社で新しくドローン事業を始めるので一定数の従業員に資格を取ってほしいけれど、信頼性を高めるためにも国家資格はないかと探している人はいませんか?
この記事では、ドローンの国家資格を取得するメリットから取り方まで詳しく解説します。
ドローンの国家資格とは?
ドローンの国家資格とは「無人航空機操縦者技能証明」のことです。ドローン飛行の安全を確保したうえで、社会利用の促進を目的として、2022年12月5日から制度が施行されました。
「無人航空機操縦者技能証明」では、ドローンを航空法の規制対象となる空域や方法(特定飛行)で飛行させます。知識と能力に関する試験を行い、合格者には技能証明書が交付されます。
技能証明の資格区分は次の2つです。
資格区分 | 概要 | 操縦できる機体 | 飛行方法 |
---|---|---|---|
一等無人航空機操縦士 | 立入管理措置をせずに行う特定飛行に必要な技能を証明する資格 | 最大離陸重量25kg未満のマルチローター、ヘリコプター、飛行機 | 昼間の目視内飛行 |
二等無人航空機操縦士 | 立入管理措置をして行う特定飛行に必要な技能を証明する資格 | 最大離陸重量25kg未満のマルチローター、ヘリコプター、飛行機 | 昼間の目視内飛行 |
ドローンの国家資格を取得する場合、まず自社ではどのような飛行を行いたいのかを考え、それに合わせて資格区分をどちらにするか決めるのが望ましいでしょう。
ドローン資格が国家資格になる背景には何があったのか
ドローンの資格が国家資格になる背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
そもそも空にはドローンだけが飛行しているわけではなく、飛行機やヘリコプター、飛行船やラジコン機などさまざまな機体が飛行しています。そのため、ドローン技術の進歩とともに安全な活用とは何かを考え、一定のルールを作って運用しないと事故が起きる可能性が高くなるでしょう。
国土交通省の「無人航空機のよくあるご質問及び資料」のページに目を通すと、ドローンに関する法律、ガイドラインが時系列でどう整備されたがわかるようになっています。2015年に制定された最初のガイドラインの目的は「安全が損なわれない」ことですが、2023年版でもこの部分は変わっていません。
ドローンの国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」は、ドローン飛行の安全を確保した上でその社会利用を促進するのを目的として作られた資格です。
国はドローンの資格を国家資格にすることで、法律やガイドラインを守ってドローンを飛ばせる人材を増やし、空の安全を守っています。
ドローンの国家資格を取るメリット
ドローンの国家資格を取ると、民間資格とは異なり次のようなことができます。
項目 | 概要 | 民間資格 | 一等無人航空機操縦士 | 二等無人航空機操縦士 |
---|---|---|---|---|
レベル1 | 目視内飛行(操縦飛行 | 申請すれば飛行させられる | 申請不要で飛行可能 | 申請不要で飛行可能 |
レベル2 | 目視内飛行 | 申請すれば飛行させられる | 申請不要で飛行可能 | 申請不要で飛行可能 |
レベル3 | 無人地帯(離島や山間部等)における目視外飛行 | 申請すれば飛行させられる | 申請不要で飛行可能 | 申請不要で飛行可能 |
レベル4 | 有人地帯(都市を含む地域)における目視外飛行 | 申請も飛行も不可 | 申請すれば飛行させられる | 申請も飛行も不可 |
ドローンの民間資格を取得しても飛行申請は必要ですが、国家資格を取得すればレベル1~レベル3までの飛行では飛行申請が不要となります。
また一等無人航空機操縦士の資格を取得すれば、レベル4でも申請後にドローンを飛行させられるのが大きなメリットだと言えるでしょう。
他にも国家資格を取得するメリットがあるので3つご紹介します。
カテゴリーⅢ飛行ができる
ドローンの飛行形態についてはリスクに応じた以下の3つのカテゴリーに分類されますが、一等無人航空機操縦士を取得するとリスクの大きいカテゴリーⅢの飛行ができます。
項目 | 概要 |
---|---|
カテゴリーⅢ | 特定飛行のうち、ドローンの飛行経路下において立入管理措置をしないで行う飛行 |
カテゴリーⅡ | 特定飛行のうち、ドローンの飛行経路下において立入管理措置をした上で行う飛行 |
カテゴリーⅠ | 特定飛行にあたらない飛行で航空法上の飛行許可・承認手続きは不要 |
特定飛行とは次の空域と方法で行われる飛行のことです。
項目 | 概要 |
---|---|
飛行する空域 | 空港などの周辺
人工集中地区の上空 緊急用務空域 150m以上の上空 |
飛行の方法 | 夜間の飛行
目視外での飛行 人や物件と距離を確保できない飛行 催し場所上空での飛行 危険物の輸送 物件の投下 |
一等無人航空機操縦士を取得するとある程度リスクの大きい飛行もできるので、ドローン事業で特定飛行をしたいなら、従業員に計画的に国家資格を取得してもらうのがよいでしょう。
カテゴリーⅡ飛行時に必要な手続きを簡略化できる
一等無人航空機操縦士か二等無人航空機操縦士の資格を取得していれば、カテゴリーⅡ飛行時に必要な手続きの中で簡略化できるものがあります。
具体的には、以下の条件でのカテゴリーⅡ飛行において飛行許可・承認申請が不要です。
- 特定飛行のうちDID上空、夜間、目視外、人や物件から30mの距離を取らない飛行
- 機体認証を受けたドローンの最大離陸重量が25kg未満
- 飛行マニュアルの作成などドローンの飛行の安全を確保するために必要な措置をする
自社の事業でカテゴリーⅡの飛行を考えているなら、従業員に国家資格を取得してもらうのがおすすめです。
自社のドローンの操縦技術についてお客様からの信頼を高められる
新しくドローンに関する事業を立ち上げた場合、顧客からの口コミなどはまだない状態なので、新規顧客に信頼して契約してもらうのがなかなか難しい場合もあります。そのような場合に、国家資格の有資格者が自社にいるのをアピールすると顧客からの信頼を得やすくなるでしょう。
従業員に資格を取得してもらったら、資格名や取得した人数をホームページに記載するのがおすすめです。
ドローンの国家資格の取り方
ドローンの国家資格はどのような手順で取得すればよいのでしょうか。
取り方を5STEPにわけてご紹介します。
【STEP1】資格取得にかかる費用を確認する
ドローンの国家資格は、一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の2種類がありますが、それぞれ資格取得にかかる費用は異なります。
一等無人航空機操縦士の資格取得にかかる費用は以下の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
講習受講費用 | 登録講習機関により異なるため要確認 |
受験申請費用 | 一等学科試験 9,900円
実施試験 回転翼(マルチローター)・一等・基本(昼間・目視内・25kg未満)22,200円 回転翼(マルチローター)・一等・限定変更 20,800円 |
交付申請費用 | 新規申請 3,000円 再交付申請、更新申請、限定変更申請 2,850円 登録免許税 3,000円 |
また二等無人航空機操縦士の資格取得にかかる費用は次の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
講習受講費用 | 登録講習機関により異なるため要確認 |
受験申請費用 | 二等学科試験 8,800円 実施試験 回転翼(マルチローター)・二等・基本(昼間・目視内・25kg未満)20,400円 回転翼(マルチローター)・二等・限定変更 19,800円 |
交付申請費用 | 新規申請 3,000円 再交付申請、更新申請、限定変更申請 2,850円 |
講習受講費用は登録講習機関により異なるので、従業員が通える範囲で比較・検討するのが望ましいでしょう。
【STEP2】本人確認の手続きをする
本人確認の手続きを国土交通省の「ドローン情報基盤システム2.0」を用いてオンラインで行います。
本人確認に使えるものは以下の通りです。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- パスポート
- 健康保険証
- 本籍の記載のある住民票の写し(マイナンバーカードの場合を除く)
- 本人写真
手続きが終わると登録講習機関における講習受付、指定試験機関における試験受付などで使用する「技能証明申請者番号」が取得できます。
ドローン情報基盤システムの操作方法がわからない場合、ホームページの利用ガイド/マニュアルのタブからマニュアルを確認できるのを覚えておきましょう。
【STEP3】登録講習機関で無人航空機講習を受講する
登録講習機関でドローンに関する学科と実地の無人航空機講習を受講します。
登録講習機関において無人航空機講習を修了した場合、指定試験機関での実地試験が免除されるのでこのタイミングで講習を受講しておくのがおすすめです。
【STEP4】指定試験機関で受験する
指定試験機関で受験申請を行い、学科試験・実地試験・身体検査を受けます。
実地試験は学科試験に合格しないと受けられません。
詳細な試験科目、試験の流れ、試験日程などについても知りたい場合は無人航空機操縦士試験の公式ホームページから確認しておきましょう。
【STEP5】技能証明書の交付申請をする
試験に合格したら国土交通省に対して技能証明書の交付申請手続きを「ドローン情報基盤システム2.0」を用いてオンラインで行います。
交付申請の手続きをすると、技能証明書が郵送で届きます。
技能証明書が届くまでにかかる期間は一等無人航空機操縦者技能証明書の場合は登録免許税納付後から10開庁日です。二等無人航空機操縦者技能証明書の場合は、審査完了後から10開庁日が目安なのです。事業をするのに間に合うようにスケジュールを組みましょう。
ドローンの国家資格講習受講生の現状
無人航空機操縦者技能証明の登録講習機関となる日本無人航空機免許センター株式会社では、二等無人航空機操縦士の資格を取得した受講生565人を対象にアンケート調査を行いました。
アンケート調査の結果から、受講生がどのように登録講習機関を選び何の目的でドローンの国家資格を取得したのかをご紹介します。
登録講習機関の選び方
画像出典:JUIC「受講者アンケートを公開!ドローン国家資格取得のための講習機関の選び方と受講目的とは?」
アンケートで日本無人航空機免許センター株式会社(JUIC)を選び受講したきっかけをたずねると、上記のような結果となりました。
勤務先からの指示・推薦・紹介が一番多く25.5%と1/4を占めているのがわかります。
このことから従業員にドローンの国家資格を取得してもらうなら、費用の節約のためにも自社で望ましい登録講習機関を探して受講してもらいましょう。
ドローンの国家資格を取得するための登録講習機関やスクールについても詳しく知りたい場合は、次の記事もごらんください。
【初心者向け】ドローン操縦に資格は必要?知っておきたいドローンスクールや民間資格の基本 – ドローンHUB (drone-hub.net)
無人航空機操縦者技能証明の取得目的
画像出典:JUIC「受講者アンケートを公開!ドローン国家資格取得のための講習機関の選び方と受講目的とは?」
アンケートで無人航空機操縦者技能証明の取得目的について聞いた所、空撮業務が32.7%で一番多かったのです。他にも測量、点検、農業などがあり意外と目的が細分化しています。
このことからドローンの国家資格を取得しておけば、今後ドローン技術の進歩とともに資格を生かせるビジネスジャンルも増える可能性があると言えるでしょう。
参考:日本無人航空機免許センター「受講者アンケートを公開!ドローン国家資格取得のための講習機関の選び方と受講目的とは?」
まとめ
ドローンの国家資格とは「無人航空機操縦者技能証明」のことです。ドローン飛行の安全を確保した上でその社会利用を促進するのを目的として、2022年12月5日から制度が施行されています。
この記事も参考にして、自社の従業員に積極的に国家資格の取得を推奨してみてください。
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1等無人航空機操縦士資格保有
ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。