ドローンの免許を取ったらできる仕事とは?年収もご紹介
公開:2024.12.02
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ドローンの空撮動画を見て「自分もこんな映像を撮影したいけど、免許を取ればドローン業ができるのか?」不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
今回は、ドローンの免許を取ることでできるようになる仕事から、その年収まで詳しく解説します。
ドローンの仕事をするための免許とは?
ドローンを操縦するための免許制度は設置されておらず、国家資格や民間資格を取得して仕事をすることになるでしょう。
ドローンの国家資格の正式名称は「無人航空機操縦者技能証明」と言い、できることに応じて資格の区分が次のようにわかれています。
またドローンの民間資格とはドローンのさまざまな業界団体が認定する資格のことを指します。詳細を知りたい方は次の記事もごらんください。
【初心者向け】ドローン操縦に資格は必要?知っておきたいドローンスクールや民間資格の基本 – ドローンHUB
参考:無人航空機レベル4ポータルサイト「無人航空機操縦者技能証明」
ドローンの免許を取得するメリット
ドローンの免許(資格)を取得するメリットは以下の通りです。
- (一等無人航空機操縦士を取得した場合)カテゴリーⅢ飛行ができる
- (二等無人航空機操縦士を取得した場合)カテゴリーⅡ飛行ができる
- 安全に配慮した飛行ができる
- 水中の航行、プラント点検、建築物の点検調査、森林測量、農作業など目的に応じたドローン飛行ができるようになる
ドローン操縦を仕事にするには、どうすれば安全にドローンを飛行させられるかについての知識と高い操縦技術が必要となりますが、それらを身に着けられるのがドローン免許(資格)です。
ドローンの免許を取得するとできる仕事
ドローンの免許(資格)を取得するとできる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。
7つご紹介します。
農業
ドローンでの農薬散布を安全に行うのを目的とした資格に、一般社団法人農林水産航空協会が認定する「産業用マルチローターオペレーター技能認定」や、AGRAS農業ドローン協議会が認定する「AGRAS農業協議会認定ドローンオペレーター」があります。
「産業用マルチローターオペレーター技能認定」を取得するために学ぶ内容は以下の通りです。
農業
ドローンでの農薬散布を安全に行うのを目的とした資格に、一般社団法人農林水産航空協会が認定する「産業用マルチローターオペレーター技能認定」や、AGRAS農業ドローン協議会が認定する「AGRAS農業協議会認定ドローンオペレーター」があります。
「産業用マルチローターオペレーター技能認定」を取得するために学ぶ内容は以下の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
操作実技教習 | ・マルチローターと散布装置の操作に関すること ・マルチローターと散布装置の取り扱いに関すること ・その他必要な事項 |
学科教習 | ・農林水産航空事業に関すること ・病害虫・雑草防除などマルチローターの利用技術に関すること ・農薬の安全使用に関すること ・マルチローターの運用管理に関すること ・機体の取り扱いと安全使用に関すること その他、必要な事項 |
一方、「AGRAS農業協議会認定ドローンオペレーター」を取得するために学ぶ内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
座学講習 | (AGRAS農業ドローン協議会指定テキストを使った講習)
・運用管理 ・散布飛行の知識 ・散布飛行の訓練 ・農薬の知識 ・作物保護の知識 ・自動飛行について ・座学試験 |
飛行実習 | ・アプリケーションの解説 ・ステック操作の基本 ・安全な離着陸 ・安定した直進飛行など ・ステック操作応用 ・マニュアルモードでの散布実習 ・自動飛行での散布実習 |
どちらの資格を取得する場合でも、農業用ドローンを安全に取り扱い、飛行させるための知識と実技、農薬を安全に取り扱うための知識を学ぶことがわかります。
ドローンの最新技術を用いて農業の現場で人手不足を補い、魅力的な新しい農作物の育成の仕事に取り組みたい人は、農業用ドローンの資格を取得するのがおすすめです。
参考:一般社団法人農林水産航空協会「産業用マルチローター各種基準」
参考:FBSドローンカレッジ「AGRAS農業協議会認定ドローンオペレーター教習」
水中調査や人命救助
空中を飛行するドローンがUAV(unmanned aerial vehicle)と呼ばれているのに対し、水中で運航するドローンは、ROV(Remotely Operated Vehicle)と呼ばれています。
このROVを安全に運航させるための資格には、「JDA ROV操縦士」「水中ドローン安全潜航操縦士」があります。
JDA ROV操縦士を取得するために学ぶ内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
学科 | ・水中ドローンの基礎知識・歴史 ・水中ドローンに関係する法律 ・水中ドローンが進む仕組み ・水中ドローンの各部位の名称 ・リモコンとバッテリーの知識 ・各種センサーの名称と役割 ・知っておきたい気象や海流の知識 ・水中ドローン操縦者の責任 ・水中ドローン安全管理者の基礎 ・その他の役に立つ知識(Q&A、役立つウエブサイトやアプリ紹介) ・各種JDAドローン証明証の認定 |
技能 | (ドローンの基本操作 ) ・セッティング方法と注意点 ・プレチェックとアフターチェック ・手入れと保管方法等など (課目A) ・始動 ・前進 ・直進移動 ・回頭 ・ターゲット撮影 ・静止 (課目B) ・課目Aの応用 ・斜め移動 ・角度を維持したまま潜航前進 ・撮影ターゲットにトリムダウン ・角度を維持したまま浮上前進 ・撮影ターゲットにトリムアップ |
一方、水中ドローン安全潜航操縦士を取得するために学ぶ内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
座学講習 | ・概要 ・水中ドローンの市場 ・法令 ・運用環境 ・運用 ・技術・メンテナンス ・安全潜航管理 |
実技講習 | ・環境確認 ・準備・事前点検 ・起動 ・設定・動作確認 ・基本操縦・操作 ・応用・目視外 ・事後点検 |
どちらの資格を取得する場合でも、水中ドローンに関する法律や使われている技術、水中ドローンならではの安全管理について学ぶこととなります。
ドローンの技術を用いて人命救助や海中の点検調査の仕事に携わりたい人には、水中ドローンの資格取得がおすすめです。
参考:一般社団法人日本ドローン協会「水中ドローン講習/検定会」
参考:一般社団法人日本水中ドローン協会「水中ドローン安全潜航操縦士とは」
プラント点検
ドローンを用いたプラント点検ができるようになるのを目的とした資格には、「プラント点検スペシャリスト」があります。
「プラント点検スペシャリスト」の資格を取得するために学ぶ内容は以下の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
座学講習 | ・プラント点検飛行概論 ・法規制・ルール・申請方法 ・技術 ・運用上の留意点 ・リスクに対する安全管理の手法 |
実技講習 | ・屋外近接飛行 ・屋外俯瞰飛行 ・屋内目視外飛行 ・屋内暗所飛行 |
プラント内の限られた、また必ずしも明るくはない空間の中でも安全にドローンを飛行させるための知識や操縦技術を学べることがわかります。
ドローンの最新技術を用いてプラントの安全な点検をサポートしたい人には、プラント点検スペシャリストの資格取得がおすすめです。
参考:JUIDA「プラント点検スペシャリスト養成コースについて」
参考:ブルーイノベーション株式会社「JUIDAプラント点検スペシャリスト養成コース」
建築物の点検調査
ドローンを使って建築物の点検・調査ができるようになるのを目的とした資格に、「ドローン建築物調査安全飛行技能者」があります。
「ドローン建築物調査安全飛行技能者」の資格を取得するために学ぶ内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
座学 | ・安全管理・撮影の知識 ・係留の知識 ・ドローン飛行計画書の作成の知識 |
実技 | ・安全管理 ・飛行技術 ・撮影技術 ・係留技術 |
ドローンの係留飛行とは、ドローンの本体と固定地点をワイヤーなどで結んで飛行させることを指します。
「ドローン建築物調査安全飛行技能者」の学習では、ドローンを安全に飛行させるための知識や技術はもちろんですが、係留飛行についても多くの時間を割いて学習するのが特徴的だと言えるでしょう。
建築の現場で最新のドローン技術を用いた安全な点検作業を実現したい人には、「ドローン建築物調査安全飛行技能者」の資格を取得するのがおすすめです。
森林測量
林業の現場でドローンを活用するのを目的とした資格に、「森林測量スペシャリスト」があります。
「森林測量スペシャリスト」の資格を取得するために学ぶ内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
座学 | ・無人航空機概論 ・航空法と許可申請 ・運用 ・安全運航管理 ・航空写真測量 |
実技 | ・基本的な飛行方法 ・非GNSS環境下での安全な操縦方法 ・ドローン応用操縦(非GNSSモード) ・自動飛行用アプリ操作、計画作成など ・ドローン自動飛行 ・山間部用飛行解析研修 ・Agisoft metashapeの概説 ・樹冠表面高モデル作成(DSM作成) ・オルソモザイク画像の作成など ・QGISの概説 |
ドローンの基本的な知識や操縦方法だけではなく、林業にドローンを使用するためのデータ解析なども学べるのが特徴的だと言えるでしょう。
ドローンの最新技術でスマート林業を実現したい人には、「森林測量スペシャリスト」の資格取得がおすすめです。
ドローン空撮
映像制作にドローン空撮の技術を活用するのを目的とした資格に、「DPDAFPV撮影操縦士」「DPCA商業撮影撮影操縦士」があります。
「DPDAFPV撮影操縦士」の資格を取得するのに学ぶ内容は以下の通りです。
項目 | 概要 |
---|---|
講習 | ・概論・安全対策と飛行までのフローデモ&目視飛行訓練 ・組み立て、修理、セットアップデモ ・目視飛行訓練&修理 ・FPV(目視外)操縦に向けての練習方法とQ&A ・目視外飛行訓練とテスト ・FPVの解説と使用方法 ・過去実績を基に使用するドローン撮影機と点検機の解説 ・FPV飛行訓練&修理 ・マンツーマンとFPV(目視外)操縦の練習方法 |
一方、「DPCA商業撮影撮影操縦士」の資格を取得するのに学ぶ内容は次の通りです。
項目 | 概要 |
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座学 | ・制作ディレクション ・バリュエーションを生む空撮技術 ・地上撮影・映像編集の視点から空撮を考える ・空撮をレベルアップするための機材について |
実技 | ・人を魅了するために求められる空撮操縦テクニックとは? |
目視飛行以外に、目視外飛行についても安全に行うための知識や操縦の訓練を実践的に行う内容なのがわかります。
また人の心を動かす空撮技術とは何かを知ることができる内容だとも言えます。
ドローンの空撮技術を用いて新たな映像表現を行ってみたい人は、「DPDAFPV撮影操縦士」の資格を取得するのがおすすめです。
ドローンインストラクター
ドローンのインストラクターになるのを目的とした資格に、「JUIDA認定スクール講師」「ドローン操縦士回転翼3級インストラクター」があります。
「JUIDA認定スクール講師」を取得するのに学ぶ内容は以下の通りです。
項目 | 概要 |
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講義 | ・安全運航管理 ・リスクアセスメント ・講師の心構えと効果的なインストラクション ・電波と無線 ・バッテリー ・気象 ・有人機と無人機の航空の安全について ・レベル4飛行 法制度の動向と課題 |
一方、「ドローン操縦士回転翼3級インストラクター」の詳細な講習内容はホームページでは公開されていませんが、ドローン操縦士回転翼3級の座学、実地を講習する際に必要な基礎知識と実地を講習するための技能を学ぶとされています。
どちらの資格も、ドローンについての知識や操縦をどのように教えるかという観点から学びを深められるようになっているのが特徴的だと言えるでしょう。
ドローン講師となり、これからドローン操縦の技術を用いてさまざまな現場で活躍する人材の育成に携わりたいなら、「JUIDA認定スクール講師」「ドローン操縦士回転翼3級インストラクター」の資格取得がおすすめです。
参考:DPA「資格認定事業」
ドローンの仕事で得られる年収
2024年11月現在、大手求人サイトのIndeedで「ドローン」と検索すると1000件以上の求人募集が出てきます。
求人募集の条件から、ドローンの仕事で得られる収入の例をご紹介します。
仕事の内容 | 収入例 |
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正社員のドローンパイロット | 年収350万円~500万円 |
ドローンインストラクター | 時給1,500円~3,000円 |
ドローンを使った新規事業の創出 | 年収500万円~1,000万円 |
ドローンを使った測量補助 | 時給1,300円~1,700円 |
まだ新しい職種で有資格者も少ないことから、得たい収入に応じてさまざまな働き方が選べるのが現状だと言えるでしょう。
働き方を決めるといっても、理想となるロールモデルが見つからずイメージしにくいという人は、業界で活躍している以下のような人たちの働き方を参考にしてみてはいかがでしょうか。
ロールモデル | 参考URL |
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株式会社エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔さん | 株式会社エアロネクストCEOメッセージ |
JMAドローンスクール東京講師、ドローンコミュ #WTW 代表 白石麻衣さん | プロフィール |
ドローン起業家・高校生 小澤諒祐さん | インタビュー |
まだ少ないながらもドローン技術を身につけて成功している人はいるので、その人たちがどのような学びを得てそれを仕事にどう活かしているかを考えるのが、年収アップにもつながるでしょう。
ドローンを使った仕事の将来性
内閣官房のドローン情報共有プラットフォームのページでは、国のドローン施策の全体像がわかります。このページを見ることで、国としてドローン産業を推進するために予算をどのように使い、法律、制度、資格、補助金などを整えているのかが分かります。
2024年11月現在、このページの更新は活発に行われイベントも多数開催されているので、国はドローンを使って仕事ができる人を増やしたいと考えられます。一方、経済産業省が公表した「R6年度ドローン関連予算」という資料を見ると、ドローンの開発・導入・実証に予算を割き、これからもドローン産業を活性化させる方針だとわかります。
これらのことからドローンを使った仕事に就くのは、将来性があることだと言えるでしょう。
まとめ
ドローンを操縦するための免許制度はないので、国家資格や民間資格を取得して仕事をすることとなります。
ドローンの資格は農業、プラント点検、林業など目指す仕事に合わせて取得できるようになっているので、自分がドローンを使ってどのような仕事をしたいかを考えるのが重要です。
この記事も参考にして、ぜひドローンの資格を取得し希望の仕事に就いてみてください。
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1等無人航空機操縦士資格保有
ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。