ドローンの活用方法とは?日本や海外での活用事例もご紹介

公開:2024.07.18 

農薬散布

ドローン空撮

ドローン測量

ドローン建物点検

ドローンの活用方法とは?日本や海外での活用事例もご紹介

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ドローンを「ビジネスで活用したいと考えているのだが、具体的にどのようなビジネスでどのような活用方法があるかわからず困っている」人はいませんか?

この記事では、ドローンの活用方法から日本海外での活用事例まで詳しくご紹介します。

ドローンの活用方法

ドローンの活用方法

ドローンの活用方法をジャンル別に5つご紹介します。

農業

2022年に農林水産省農産局技術普及課では「令和4年度農業分野におけるドローンの活用状況」の資料を発表しています。その中で、農業における7種類のドローンの活用方法について採り上げました。

7種類の活用方法について詳細をご紹介します。

農薬散布

ドローンを用いた農薬散布は、事前に国土交通省への認可・承認の手続きをすると行うことができます。

認可・承認をスムーズに行うためのポイントは次の2つです。

  • オンライン、郵送、持参などで散布予定日の少なくとも10開庁日前までに申請を行う
  • 手続きに必要な①ドローン機体の機能・性能、②操縦者の飛行経歴・知識・技能、③空中散布に係る安全確保体制(飛行マニュアルなど)に関する資料をあらかじめ準備する

農林水産省の推計では、ドローンによる農薬の散布実績は2019年に65,128haでした。2020年には119,500haの結果のため、54,372haも増加した事を把握できます。またドローンでの散布に適した農薬数も2019年に781でしたが、2022年には1,050と「269も増加」している状況です。

これらのことから、農薬散布へのドローン活用は今後もますます進んでいくことが予想されます。

ドローンによる農薬散布のメリットやデメリットについても知っておきたい方は、次の記事もご覧ください。

【要確認】ドローン農薬散布によるメリット・デメリットは?農薬散布の基本から解説 – ドローンHUB (drone-hub.net)

肥料散布

ドローンを用いた肥料散布は、現在RTK基地局や事前の測量を必要としないセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)対応の農業用ドローンを活用することで、高精度の可変施肥が行えるかを実証中です。

また中山間地域に対する肥料散布をドローンで行い、動力噴霧器使用時と比較して作業にかかる時間を60%~80%削減するのに成功しました。肥料散布へのドローン活用は発展途上ですが、今後も実証実験や試行を繰り返す中で課題を解決し、効率化に貢献できる可能性は高いでしょう。

播種

ドローンを用いた播種(はしゅ)は、水稲を対象に行われています。直接田んぼに播種をするため、育苗や田植作業が不要となり、育成にかかる時間や手間を大きく削減できる傾向です。

例えば株式会社オプティムと石川県農林総合研究センターが共同で行った水稲直播栽培では「乗用播種機は20分/10aの播種作業時間」がかかっています。一方のドローンが時速18kmで飛行した場合は「種子・バッテリー補給を含め6分/10a」となりました。

これらのことから、播種にドローン活用すると「育苗や田植などの作業が不要となり、播種にかかる時間も削減できる」ため大幅なコスト削減が期待できると分かります。

受粉

ドローンを用いた受粉は、正確な授粉による省力化、経費節減、収益化の向上などを目的に行われています。

例えば株式会社マルショウ紫波とイドバダアップル農園が共同で行った、リンゴの花粉を混ぜた溶液を樹上約1mの高さから散布する作業検証では「手作業で0.2ha(約40本)約8時間かかっていた作業がドローンでは約10分程度で終了」しました。

このことから、受粉にドローン活用することで大幅なコスト削減を期待できるのが分かります。

農産物等の運搬

ドローンを用いた農産物等の運搬では、収穫物の運搬実証や、農作物運搬サービスの安全性や採算性の検証が行われています。

例えば株式会社ダイヤサービスと千葉市が共同で行った青果運搬の実用実験では「ネギとイチゴを詰めた重さ約7キロの農産物を、約800m離れた広場まで5分38秒で届けることに成功」しました。

このことから農産物等の運搬にドローン活用することで、運搬にかかる時間短縮が図れるのが分かります。

ほ場センシング

ドローンを用いたほ場センシングとは「農作物を栽培する場所であるほ場に、作物の生育状況、土壌の肥沃度、病害虫・雑草等の発生状況などをドローンで撮影した画像から分析する」作業を指します。

例えば株式会社vegetaでは「キャベツの生育状況を把握するための見回り作業にドローンを導入し、ほ場1ha当たり約50分かかっていた見回り作業時間を、約30分まで削減することに成功」しました。

このことから、ドローンを農作物の状況把握に活用するのは見回り作業にかかる時間や人手を削減し、効率化につながると分かります。

鳥獣被害対策

ドローンを用いた鳥獣被害対策とは「ドローン空撮で取得したデータを基に対策や環境を整備し農作物への鳥獣被害を減らす」ことを指します。

例えば株式会社スカイシーカーでは「ドローンを活用してイノシシの生息数と生息分布調査を行い、そのデータに基づいて捕獲や環境整備などの対策を実施した結果、前年度にイノシシが46頭確認されたのが5頭まで減少し、減少率約90%を達成」しました。

このことから、ドローンを鳥獣被害対策に用いると客観的なデータを活用できるため、より効果的な対策を打ち出せるとわかります。

参考:農林水産省農産局技術普及課「令和4年度農業分野におけるドローンの活用状況」

物流

ドローンの物流分野での活用方法については、2021年度~2023年度に国土交通省で過疎地域等にドローン物流ビジネスモデル検討会が開催され、課題を抽出・分析し解決策の提案や持続可能な事業形態の整理を行ってきました。

また荷物の配送に関しては2023年3月に国土交通省より「ドローン活用した荷物等配送 に関するガイドラインVer.4.0」、厚生労働省より「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」が発表され、それぞれの内容に従って配送が行われています。

荷物の配送と医薬品の配送についてご紹介します。

荷物の配送

ドローン活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.4.0には、以下のようなことが示されています。

  • 利用者の視点を踏まえた事業コンセプトの構築
  • 検討・実施体制のの整備
  • サービス内容、採算性確保
  • 安全の確保
  • PDCA サイクルの活用等による事業継続性の確保

ガイドラインの内容をしっかりと理解すれば、これから荷物の配送事業を行う人がコンセプトを考え、法律を守った継続性のある事業展開の方法がわかるでしょう。

またガイドラインの最後には、ドローン活用した荷物配送の実証実験の事例が、「実証の基本情報」「実証内容紹介」の2項目に整理された形で49種類紹介されています。

例えば「東京都港区における住民・子連れファミリー向けランチフードデリバリー」の事例では、Waters竹芝で周辺住民や子連れファミリーに対し、ドローンによるランチのフードデリバリー体験提供の取り組みについて紹介しています。ルート設計を工夫することで温かい商品をデリバリーできるため人件費の削減にも貢献できた結果です。

これらのことからドローン活用による荷物の配送は、ガイドラインに従って適切な事業構築を行い、継続性を確保できればメリットが大きいのがわかります。

医薬品の配送

ドローン活用した医薬品配送に関するガイドラインには、次のようなことが示されています。

  • ドローン活用時の基本的事項(守らなければならない法律など)
  • 医薬品販売業者や薬局から、医薬品販売業者、薬局や医療機関に対して医薬品を配送する際の留意事項
  • 薬局から患者に対して薬剤を配送する際の留意事項

医薬品配送に関するガイドラインは、患者の健康に直接影響を及ぼす内容です。「ドローンを用いた医薬品の配送の実施状況を踏まえ、必要に応じて見直しを行うこととする」と明記されているのが特徴的だと言えるでしょう。

このためガイドラインに従って医薬品配送を始めたとしても、定期的にガイドラインを見直す姿勢が重要です。

ドローン活用した医薬品配送については、KDDI株式会社、KDDIスマートドローン株式会社、日本航空株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社ウェザーニューズ、株式会社メディセオがレベル4飛行における実証実験を行いました。

具体的には2023年12月14日〜12月20日に東京都西多摩郡檜原村にある「檜原診療所」から「特別養護老人ホーム 桧原サナホーム」まで、ドローンが約4.8kmを往復して毎日定時に処方薬を配送しています。この実験でドローンはレベル3飛行に対し飛行距離を約30%、飛行時間を約24%短縮するという成果を挙げました。

今後も実証実験が進み、医薬品配送に関する課題が解決されれば、さらにドローン活用が進むと予想されるでしょう。

参考:国土交通省「物流分野におけるドローンの活用」

参考:国土交通省「ドローンを活用した荷物等配送 に関するガイドライン Ver.4.0」

参考:厚生労働省「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」

参考:KDDI「日本初「医薬品輸送におけるドローンのレベル4飛行」~医薬品輸送における課題解決に挑む~」

点検

ドローンの点検分野での活用方法については、2022年4月に「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインVer3.0」、2019年3月に「無⼈航空機(UAV)を活⽤した⽔産基盤施設の点検の⼿引き」が発表され内容に即して点検が行われています。

プラントの点検へのドローン活用、水産基盤施設の点検へのドローン活用について見ていきましょう。

プラントの点検

プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインVer3.0では以下のようなことが示されています。

  • 通常運転時におけるプラントでのドローン活用方法
  • 設備開放時等におけるプラントでのドローン活用方法
  • 災害時におけるドローン活用方法

点検を実施する際プラントにおける設備構成は複雑なため、プラント事業者はドローン運用事業者と操縦者に対し、事前にプラントの飛行環境を十分に説明することが求められます。

またプラントにおけるドローンの実証実験については、2021年3月に石油コンビナート等災害防止3省連絡会議が発表した「プラントにおけるドローン活用事例集Ver3.0」の中で4つの事例が紹介されています。

事例の1つとして、2019年2月4日にJXTGエネルギー株式会社 根岸製油所においてドローンによる原油タンクの浮屋根の撮影を行う実証実験が行われました。

この実験では、撮影対象である16タンク中ほぼ全てと言える14タンクについて、浮屋根全体を確認することができたのです。

このことから、プラントの点検におけるドローンの実証実験が進めば、さらに活用事例は増えることが予想されます。

水産基盤施設の点検

ドローン(UAV)を活⽤した⽔産基盤施設の点検の⼿引きでは、次のようなことが示されています。

  • 施設管理者と点検実施者がUAVを⽔産基盤施設の点検などへ活⽤するにあたっての適⽤条件
  • 施設管理者と点検実施者がUAVを⽔産基盤施設の点検などへ活⽤するにあたっての活用条件
  • 点検の実施⽅法と安全管理上の留意点

漁港など利用者以外にも一般の人が立ち入り、漁船や灯台などの建築物など障害物が多い施設で点検を行う際は、人への安全確保を最優先にしなければならないことが明記されています。

また手引きの最後にはドローンの墜落と紛失の事故事例についての記載があり、墜落の原因は機器などの不具合と運転操作の未熟、紛失の原因は機器などの不具合、天候の悪化、⾶⾏経路の確認不⾜と解説されているのです。水産基盤施設の性格上、今後も安全重視でドローン利活用を進めることとなるでしょう。

測量

ドローンの測量分野での活用方法については、2018年3月に「UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」が作成されました。現在ではマニュアル内容が「作業規定の準則に含まれる」ようになり、その内容に即して活用が進められています。

国土地理院ではドローンを用いた公共測量を円滑に行うため、マニュアルで以下のようなことを示しました。

  • 【計画機関向け】UAV レーザ測量による成果品の要求仕様の策定
  • 【作業機関向け】UAV レーザ測量の作業仕様の策定
  • 【作業機関向け】UAV レーザ測量によるオリジナルデータの作成
  • 【作業機関向け】UAV レーザ測量のオリジナルデータの点検
  • 【作業機関向け】その他の成果データの作成

測量作業の発注者である計画機関、測量作業を実際に行う作業機関それぞれに向けた内容となっています。計画機関が求める「成果品に対する多岐にわたる仕様」を、スムーズに作業機関が満たせるように配慮されているのが特徴的です。

このマニュアルの内容が含まれた作業規定の準則を守ることで、測量分野でのドローン利活用はさらに進むでしょう。

消防

ドローンの消防防災分野での活用方法については、2022年3月に消防庁が発表した「消防防災分野におけるドローン活用の手引き<第2版>」で、以下のことが示されています。

  • ドローンの特長
  • 消防本部におけるドローン活用
  • 活用時に留意すべき事項
  • 上空からの撮影に係る留意事項
  • 活用用途に応じた性能・機能の確保
  • 運用体制の整備(飛行マニュアルの策定)

また活用の現状として消防本部におけるドローン活用率が52.9%となり、前年度の42.6%と比較すると10.3%も増加したのです。ドローン活用率が上昇したことから、ドローンの消防防災分野での活用は「消防本部の活用率の増加とドローン技術の進化による活用の広がり」ともに、さらに進んでいくでしょう。

ドローンの災害活用事例についても詳しく知りたい方は、次の記事もごらんください。

ドローンの災害活用事例とは?メリットから今後の課題まで詳しく解説 – ドローンHUB (drone-hub.net)

参考:内閣官房「ドローン情報共有プラットフォーム」

ドローンの活用事例

ドローンの活用方法

ドローンの実際の活用事例を農業、物流、点検、測量、消防の分野別にご紹介します。

農業

2019年8月に農林水産省が発表した「農業用ドローンの普及拡大に向けて」では、農事組合法人みずほが農薬散布用ドローン導入した事例が紹介されています。農事組合法人みずほでは、ドローンを2機導入して水稲の防除に活用しました。結果、導⼊前は収量450kg/10aでしたが「導⼊後は480kg/10aまでの効率化を成功」させ、農薬散布の費用を約2割削減しています。

ドローン導入には講習費用も含めて約180万円ほどですが、4年程度で導入費用を回収できる見込みとしています。

参考:農林水産省「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」

物流

2022年11月14日に、国土交通省主催の「第9回-過疎地域等のドローン物流ビジネスモデル検討会」が開催されました。そらいいな株式会社による長崎県五島市への医療機関向け医療用医薬品の配送と、個人向け日用品・食品の配送へのドローン活用事例が発表されました。

医療機関向け医療用医薬品の配送は、五島市奈留島、三井楽向けに運用が開始され、奈留島へは片道20kmを約15分で配送するのに成功しています。

医療機関は現在ガイドラインで規制されている劇薬の輸送ニーズがあり、そらいいな株式会社ではそのニーズを満たすため、今後は配送緩和に向けた要望の実現化に取り組んでいます。

参考:国土交通省「過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会」

 

点検

2021年3月に石油コンビナート等災害防止3省連絡会議が発表した、「プラントにおけるドローン活用事例集Ver3.0」には海外の事例も含まれ、そのうちの1つとしてイギリスのプラント点検会社であるCyberhawk社の事例が紹介されています。

Cyberhawk社は、高所設備の点検(洋上/陸上)、オフショア設備、タンク内部の点検、3Dマップ作成などに35機のドローン活用し、年間3,000回程度の飛行実績があります。

ドローン活用することで、プラントの点検コストの削減や時間短縮、早期の欠陥の発見などに成功した好事例です。

参考:石油コンビナート等災害防止3省連絡会議「プラントにおけるドローン活用事例集Ver3.0」

測量

国土交通省では、ICTの全面的な活用などの施策を建築の現場に導入することで、生産性の向上と魅力ある職場作りをする取り組みのi-Constructionを推進しています。

i-Constructionの事例集(測量業務)の中で、東北地方整備局鳥海ダム工事事務所がオリエンタルコンサルタンツ・エイテック設計共同体に発注して、UAVレーザ測量を行った事例が紹介されています。UAVレーザ測量をすることで外業の作業時間は113時間から11時間へ大幅に短縮されました。内業の作業時間は59時間から92時間へと変化し、合計172時間から103時間へと作業時間をトータルで減らすことに成功しています。

ドローン活用することで、効率良く測量を進めることができた好事例だと言えるでしょう。

参考:i-Construction公式ホームページ

消防

2022年3月に消防庁が発表した「消防防災分野におけるドローン活用の手引き<第2版>」で、伊賀市消防本部が建物火災時にドローン空撮で延焼状況を確認した事例が紹介されています。

ドローンを用いらなければ火災現場の全景が把握できない状態だったため、住宅街で電線などの障害物が多い中慎重に10分間の空撮を行いました。

墜落や紛失といった事故もなく、わずか10分で火災の全体像を把握できた好事例と呼べるでしょう。

参考:消防庁「消防防災分野におけるドローン活用の手引き<第2版>」

まとめ

ドローンの活用方法とは?日本や海外での活用事例もご紹介

ドローンは現在農業、物流、点検、測量、消防などの異なるジャンルで幅広く活用されています。今後の技術進歩により、機体が改良されて法令なども整えられることで、新しい活用方法が生まれることにも期待できるでしょう。

この記事も参考に、ドローン活用方法への理解を深め、新たなビジネスに生かしていってください。

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この記事を書いた人

1等無人航空機操縦士資格保有

ドローンの可能性を広げるため、有益な情報の発信や飛行に関する情報をお届けします。人手不足の解決や、実現不可能だったことを実現していく可能性を秘めたドローンを様々な方へ理解いただき、有用性を実感できるようなメディアにします。

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